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アンジュリーゼ物語

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第2話 希望の竜

 
前書き
・これまでのあらすじ
ノーマであることが発覚し軍事施設アルゼナルに送られた第一皇女・アンジュリーゼ。
そして彼女は、仲良しのココと共に脱走計画を立て脱走を図る。 

 
アンジュリーゼとココは、パラメイルに乗ってミスルギ皇国を目指す。
だがその進路上にもドラゴンがいた。
ココは、飛来した鱗の直撃を受け、機体と共に真っ二つになって出血多量で死亡。
そしてミランダは、副隊長のサリアの命令でアンジュリーゼを追いかけ「今のパラメイルには戦闘1回分の燃料しか積まれていない」と説得するも「構わない」と言われ、ココを亡くした悲しみに暮れる中ドラゴンの群れに捕食され死亡。

そしてアンジュリーゼはミランダが捕食されるシーンを見て絶叫し、隊長のゾーラの機体にしがみ付き、そのままガレオン級ドラゴンの攻撃を受け墜落。
墜落現場である浅瀬には、2機のパラメイルと、ゾーラの遺体、怪我をしたアンジュリーゼが発見された。
アンジュリーゼは少々けがをしただけで、命にかかわるほどの重傷は追ってなかったのこと。

しかし彼女は同じ第一中隊メンバーからかなり責められていたという。
各国元首に送った嘆願書も、突き返されたという。
そして、ココ、ミランダ、ゾーラの墓を建てに行くアンジュリーゼ。
ジャスミンが言うに、アルゼナルの隊員は、死んで名前が元に戻るという。

「ココは、ドラゴンを殺さなかったので天国に行けるだろう」、アンジュリーゼはそう思っていた。

3人の墓を建て終わった後、アンジュリーゼはジルと会話をする。

アンジュリーゼ「これからどうすればいいのですか、私。」
ジル「戦ってドラゴンを倒す。以上だ。」
アンジュリーゼ「ドラゴンって、あの大きな生き物のことですか?」
ジル「そうだ、奴らを戦闘の度に殺していく。以上だ。」
アンジュリーゼ「殺すだなんて、そんな醜いことはできません!私は皇女ですので。」
ジル「皇女だって?ノーマであると発覚し、皇室から追い出されたお前はもう皇女ではないのだ!まだそれがわかってないというのか!?」
アンジュリーゼ「まだ皇室に入れるチャンスはあると思います。諦めるわけにはいきません。」
ジル「仮に皇女として復帰できたところでどうなる。皇国民から忠誠を誓われず、罵られ、惨めな日々を送る、そんなシナリオしか目に見えてこないぞ。」
アンジュリーゼ「皇女になっても意味がないというのですか!?だったら殺してください。ドラゴンを殺し続けるなんて、私には無理です。」
ジル「駄目だ。戦って死ね。殺された仲間の分ドラゴンを殺せ、以上だ。」
アンジュリーゼ「…。」
殺してもらえず、言葉を失ったアンジュリーゼ。
ジル「どうしても死にたいというのなら、そんなヤツのための取って置きの機体がある。」

ジルはアンジュリーゼを、秘密の格納庫へと案内した。
そこには、古びた1つの機体が置かれていた。
ジル「こいつはかなりボロボロでな、ボディのみならず制御機構にまで影響が及んでいるらしいぞ。名前はヴィルキスだ。」
アンジュリーゼ「死ねるのですね…。これに乗って空を飛べば…。」
ジルは、アンジュリーゼに指輪を返した。
アンジュリーゼはその指輪を副葬品とした。

パラメイルはノーマの棺桶である。
ボディを自由にカスタマイズできるだけでなく、コックピットに何を持ち込んでもいいのである。
絵本にゲーム機、オーディオや縫い包み、何を持ち込んでもいいのだ。
その持ち込むものこそ、ノーマの副葬品なのだ。
アンジュリーゼ「(お母さま、ココ、私はヴィルキスに乗って貴女達のもとに行きます。この指輪の輝きと共に。)」
だがヴィルキスは、後にパラメイルでないことが明らかになる。

そして1週間後、アルゼナル上空にてシンギュラーが開いた。
これは前例のない事態であった。
シンギュラーから出てきたのは、多数のドラゴンのみならず、謎の人型兵器3体でもあった。
第二中隊が先にパラメイルで空中戦を行った。
第一中隊はその後で出動することになっている。
第二中隊は、ドラゴンを4分の3ほど倒した。
すると、謎の歌声が聞こえてきた。
その歌声と共に、謎の赤い機体は両肩にエネルギーを溜め始めた。
歌が終わると、謎の赤い機体は両肩から竜巻(収斂時空砲)を放った。
その竜巻で第二中隊は全滅、アルゼナルは左半分が抉られた。
それを見たアンジュリーゼはこう思った。
アンジュリーゼ「(それに当たれば、あっさりと死ねるのね…。)」

第一中隊の緊急出動。
その部隊の各機体が発進されようとしている時、
アンジュリーゼ「もうすぐ、もうすぐ死ねる…。」
アンジュリーゼは小声でそう呟いていた。
ロザリー「イタ姫様の機体、何なんだ。」
ヒルダ「死にに行くんだってよ、アイツ。そのために機体を変えてもらったらしいよ。」
クリス「お姉さまの仇、死んじゃえ死んじゃえ。」
そして第一中隊各機が発進された。
アンジュリーゼ「もうすぐよ…。もうすぐで私はアンジュリーゼに…。」
アンジュリーゼは涙目でそう呟きながら、古びた機体で謎の赤い機体に突っ込もうとする。
収斂時空砲を食らうために。
すると、アンジュリーゼの機体にこんな通信が入った。
???「皇女様、あなたはそう簡単に死んではいけません。」
アンジュリーゼ「どうしてですか!?私はもう皇女に戻れません。ドラゴンを殺し続けるくらいなら死んだ方がましです!」
???「もうドラゴンは襲ってきません。なのでもうドラゴンを殺すことはないでしょう。」
アンジュリーゼ「それ本当ですか!?で、貴方の名前は何ですか?」
サラマンディーネ「私は真なる星の姫、サラマンディーネ。」
アンジュリーゼ「どうしてドラゴンを率いて!?」
サラマンディーネ「真実はアウラと共に明らかになります。」
アンジュリーゼ「私はこれからどうすればいいのですか!?」
サラマンディーネ「貴方が乗っているヴィルキスは、世界を革命へと導く力があります。」
アンジュリーゼ「そうですか…。なら私はこの機体で、ノーマである私を皇女として受け入れる世界を作りたいです!」
その瞬間、アンジュリーゼの指輪のダイヤモンドが光った。
そしてヴィルキスは、ボディも制御機構も修復されたピカピカの機体へと変化した。
サラマンディーネ「貴方の前向きな思いが、ヴィルキスを覚醒させたのです。」
アンジュリーゼ「そのヴィルキスの力、見せてあげましょう!」
サラマンディーネ「喜んで。」
サラマンディーネは、謎の人型兵器2機とドラゴンを撤収させた。
そしてアンジュリーゼとの決闘が始まった。

剣を用いての勝負である。
ピカピカになったヴィルキスは、華麗な動きで「サラマンディーネの機体」を翻弄する。
サラマンディーネ「操縦テクニックは中々凄いですね。」
アンジュリーゼ「誉めてくれたのは光栄です。しかし勝負はまだ終わっていません。」
そして長い勝負の末、勝負はつかなかった。
サラマンディーネ「時が満ちる…。」
サラマンディーネはそう言って、シンギュラーを超えて元の世界へ帰っていった。

ヴィルキスと共にアルゼナルに戻るアンジュリーゼ。
ジル「指輪をお前に返した理由がわかったか、アンジュ。」
アンジュリーゼ「はい。ヴィルキスを覚醒させるためです。」
ジル「わかればそれでいい。そのヴィルキスで世界を変えるのだぞ!」 
 

 
後書き
・次回予告
マナの世界について語るジル。
そして第一中隊のメンバー、ヴィヴィアンの正体が明かされる。 
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