英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第81話
~カレイジャス・ブリーフィングルーム~
「フフ、エリゼさんは”特務支援課”――――ロイド君達に力を貸して、クロスベル解放並びにクロスベル帝国建国を手伝うという任務についているのよ。」
「え…………」
「ええっ!?」
「クロスベルの……」
「エ、エリゼ君が”特務支援課”の人達に……!?」
ルイーネの説明を聞いたリィンは呆け、アリサは驚き、アルゼイド子爵は真剣な表情をし、マキアスは信じられない表情で声を上げた。
「ええ、そうよ。クロスベル解放並びにクロスベル帝国建国については基本”クロスベル自身”にさせるからメンフィルは直接手を貸さないけど、ロイドお兄さん達に個人的にお世話になったリフィアお姉様がエリゼお姉さんにロイドお兄さん達に力を貸すように指示したのよ。ちなみにレンも”個人として”、ロイドお兄さん達に協力するつもりよ。ロイドお兄さん達には世話になったしね。」
「ブーブー。”守護の剣聖”に加えて”殲滅天使”までクロスベル解放を手伝うなんて反則じゃないかな~?」
レンの説明を聞いたミリアムは驚いた後頬を膨らませて反論し
「そうかしら?現クロスベル政権に力を貸しているのは”結社”の”蛇の使徒”や”執行者”、”鉄機隊”に加えて”風の剣聖”。そして”赤い星座”の猟兵達どころか”赤の戦鬼”や”血染めのシャーリィ(ブラッディシャーリィ)”もいるのよ?」
「か、”風の剣聖”が現クロスベル政権に力を貸しているんですか!?」
「アリオスさんか……確かにあの人は手強いだろうな……」
「ええ……S級に最も近いA級正遊撃士だったんだから……」
「ユン殿も誇っていたほどの人物が一体何故……」
「”鉄機隊”……あの”神速”とやらが率いる部隊か。」
「しかも”赤の戦鬼”や”血染め”までクロスベルにいるんだ。」
レンの指摘を聞いたリィンは驚き、トヴァルとサラ教官は複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は考え込み、ラウラとフィーはそれぞれ真剣な表情をした。
「……ちなみにクロスベルにいる”蛇の使徒”は誰なのよ。」
「一人は”十三工房”の統括者―――F・ノバルティス博士よ。」
「じゅ、”十三工房”……?聞いた事のない工房だな……」
セリーヌの質問に答えたレンの答えを聞いたジョルジュは戸惑い
「どんな工房なのかシャロンは……知っているのよね?」
アリサは真剣な表情でシャロンに尋ねた。
「はい。――――”十三工房”。”十三工房”とは”身喰らう蛇”の多くの古代技術の研究機関の総名称になります。ノバルティス博士は先程のレン姫の説明にあったように十三工房の統括者でして。ガレリア要塞を消滅させた兵器も彼の手によるものですわ。」
「ええっ!?」
「ほえっ!?そうだったの~!?」
「やはり、”結社”が絡んでいましたか……」
シャロンの説明を聞いたエリオットとミリアムは驚き、クレア大尉は真剣な表情で呟いた。
「どうして古代技術をそんな方向にしか使えないのだろう……他にももっと世の為に役立つ使い方もあるだろうに……」
「ジョルジュ君……」
複雑そうな表情で呟いたジョルジュをトワは心配そうな表情で見つめた。
「そしてもう一人は”鋼の聖女”アリアンロードよ。」
「!!よりにもよって”鋼の聖女”まで現クロスベル政権に力を貸しているですって!?」
「クロスベルの皆様も厳しい戦いになるでしょうね……」
(”鋼の聖女”……”神速”の”マスター”か……)
レンの説明を聞いたセリーヌは血相を変え、シャロンは真剣な表情をし、リィンは考え込んでいた。
「”鋼の聖女”……と言う事はその”蛇の使徒”は女性なのですか?」
「ええ。ちなみにレーヴェの話では”鋼の聖女”は”槍の聖女”と瓜二つの容姿で、得物である”馬上槍”を使えば一軍すらも圧倒できるそうよ?」
「なっ!?」
「かのサンドロッド卿と……」
「というかその話だとまるっきり”槍の聖女”と同じだよね……!?」
「”槍の聖女”は250年前の人物………さすがに本人ではないと思うが……」
「一体どういう事なのでしょう……?」
「少々気になる話ですね……」
自分の質問に答えたレンの話を聞いたラウラは驚き、アルゼイド子爵は呆け、エリオットは信じられない表情をし、ガイウスやアルフィン皇女、エリスは考え込んでいた。
「話を戻すわね。”神殺し”を始めとした多くの”協力者”が力を貸しているとは言え、ロイドお兄さん達―――”特務支援課”はまだはぐれた仲間全員と合流できていない上ヴァイスお兄さん達――――”六銃士”達も膠着状態にある状況…………対する”Ⅶ組”は仲間全員が揃って、レン達のおかげで”裏の協力者”達が半数以上いなくなった状況だから、状況としては互角―――いえ、下手をすればⅦ組やエレボニアの方が若干有利だと思うわよ?」
「それにクロスベルを覆う”結界”……あれを何とかしない限り、クロスベルに攻め入る事もできませんわ。」
「……少なくとも”結界”を解かない限り、我々は膠着状態と言ってもおかしくありません。」
レンの説明に続くようにマルギレッタ、リ・アネスはそれぞれ答え
「と言う事はクロスベルを覆う”結界”が消えた時が、クロスベル解放並びにクロスベル帝国建国が近いサインでもありますね……」
マルギレッタ達の説明を聞いたクレア大尉は真剣な表情で考え込んだ。
「先程”期間以内”と言っていたが、その”期間”はどのくらいになるんだ?」
その時トヴァルがレンに質問した。
「期間はクロスベル帝国建国後、メンフィルがクロスベルと共にエレボニアに侵攻するまで。―――つまり、”戦争回避条約”の最後の一文にあるタイムリミットまでがシグルーンお姉さんが”Ⅶ組”に協力する”期間”と思ってもらっていいわ。期間が過ぎたらシグルーンお姉さんは”Ⅶ組”から離れてリフィアお姉様達に合流する事になっているわ。」
「!それは…………」
レンの答えを聞いたリィンは仲間達と共に血相を変えた。
「……本当に私達がそれぞれの書類にサインし、シグルーン中将をⅦ組に同行させれば期間以内の間はメンフィルはエレボニアへの攻撃を止めてくれるのかい?」
「ええ。貴族連合がよっぽど愚かな事をしない限りは防衛に徹するだけにしておくし、もしそんな事が起こって期間以内にエレボニア侵攻をする事になったら前もってアルフィン皇女かオリヴァルト皇子に連絡して、その際に他の条件を与えて期間以内にメンフィルがエレボニアに攻め入らないようにする機会も与えるわ。あくまでレン達の予想だけど帝都襲撃やパンダグリュエル制圧に加えて裏の協力者達の半数以上と”総参謀”が死んだ事で、しばらくはメンフィルに手を出さないと思うわよ?レン達に構ってばかりいたら、正規軍に隙をつかれる事くらいはさすがにわかっているでしょうし。それにレーヴェの話だと”蛇の使徒”や”執行者”にはそれぞれの”使命”があると聞いているから”結社”からの応援が来るのも時間がかかると思うわ。そうでしょう?”死線”のメイドさん。」
「はい……レン姫の仰る通り、”執行者”や”蛇の使徒”にはそれぞれの”使命”が与えられている為、それを終えるまでは幾ら”蛇の使徒”である”蒼の深淵”の要請とはいえ、応えないと思いますわ。」
レンに視線を向けられたシャロンは静かな表情で頷いた。
「……わかった。二人とも辛いと思うが、それぞれの誓約書とアルフィンは私同様戦争回避条約とその救済条約の書類にサインをしてくれないか?」
二人の言葉を聞いて少しの間考え込み、結論を出したオリヴァルト皇子はユーシスとアルフィン皇女を見つめ
「元よりわたくしはそのつもりですわ。」
「アルフィン殿下と同じく自分も同じ所存です。全ては”アルバレア公爵家”に責があるのですから…………」
「ユーシスさん………」
「………………」
アルフィン皇女とユーシスの答えを聞いたエマは辛そうな表情をし、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って黙り込んでいた。そして3人はそれぞれ予備や自分達が所有する分も含めた書類にサインし、エリゼがメンフィル側が受け取る書類を回収してレンに渡した。
「…………うふふ、これで”契約完了”ね。約束通り戦争回避条約の最後の一文にあった期間終了まではよほどの事がない限りメンフィルはエレボニアに対する侵略行為を中止するし、正規軍のメンフィル帝国領の通過、メンフィル帝国領内での補給、”カレイジャス”の停泊やメンフィル帝国領内にある転移魔法陣の使用も許可するわ。」
「了解した。これで何とか時間は稼げたか……」
「………………」
レンの答えを聞いたオリヴァルト皇子は安堵の表情をし、リィン達はそれぞれ複雑や辛そうな表情をして黙り込んでいた。
「エリゼお姉さん、シグルーンお姉さん。みんなに”通行証”とその予備も配ってあげて。」
「―――かしこまりました。」
「御意。」
レンに指示をされたエリゼとシグルーンは手分けしてその場にいる全員に”通行証”を配った。
「これは一体……」
「プリネ達にもらったのと同じものだね。」
「”通行証”か……」
通行証を見たオリヴァルト皇子は戸惑い、フィーは静かな表情で呟き、マキアスは複雑そうな表情をした。
「それを見せればメンフィル帝国領の各地で”検問”をしている見張りの兵達も無条件で通してくれるわ。無くさないように気を付けてね?オリヴァルト皇子にはミュラー少佐の分を、クレア大尉にはクレイグ中将とナイトハルト少佐の分も渡しておいたから、それぞれと合流したら渡してあげてちょうだい。」
「―――わかった。」
「―――わざわざ御用意して頂き、ありがとうございます。お二方と合流した際は必ず渡させて頂きます。」
レンの説明を聞いたオリヴァルト皇子は頷き、クレア大尉は会釈をした。
「後、”白兎”の貴女にはこれらもあげるわ。」
そしてレンが指を鳴らすと異空間から”アガートラム”の部品とミリアムのサイズの服が現れ、ミリアムの目の前で着地した。
「ほえっ!?ガーちゃんの部品にこの服はもしかしてボクの防具!?」
自分の目の前にある武具を見たミリアムは驚き
「Ⅶ組のみんなが装備している”匠王”ウィルフレドお兄さんが作った武具よ。武器の名前は”セイクリッド・アーム”。聖なる力が込められた武器だから、幽霊や悪魔相手にも効果抜群よ。防具の名は”イノセンスウェア”。戦闘中に様々な加護が発動する魔術が込められた防具よ。」
「ええっ!?」
「ぼ、僕達が持っているのと同じ……!」
「まあ……かの”匠王”様特製の武具ですか……」
「!何て霊力……!」
「あ、相変わらずウィルフレド様の創った武具は凄まじい力を秘めていますね……」
「”至高の職人”と謳われている”匠王”か……一体どんな人なのだろう?」
レンの説明を聞いたアリサとエリオットは驚き、シャロンは目を丸くし、セリーヌは目を見開き、エマは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ジョルジュは興味ありげな表情をしていた。
「ラッキー!やっとボクもみんなと同じ”匠王”の武具を貰えたよ♪本当に貰ってもいいんだよね!?」
「ええ。”常任理事”であるパパがみんなも持っているんだから、貴女にも渡さないと不公平って事でウィルお兄さんに頼んで創ってもらったのよ。」
「ありがとう!”英雄王”に今度会えたらお礼を言っておくね~。」
レンの話を聞いたミリアムは無邪気な笑顔を浮かべた。
「ああ、そうそう。一つ言い忘れていたけどエリスお姉さんも”Ⅶ組”の”協力者”として助力するとの事だから、今度はもう誘拐されないように気を付けてよ。」
そしてレンはその場にいる多くの者達が驚くべき事実を口にした。
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