八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十一話 レトロゲームその七
「より難しい」
「それでなんだ」
「もうそろそろやられる」
留美さんは自分で言った。
「自分でわかる」
「弱気だね、何か」
「弱気ではない」
「じゃあ現実かな」
「そうだ」
留美さんが今言うのはこれだというのだ。
「私は現実を見て言っているのだ」
「これ以上は無理なんだ」
「本当にそろそろやられる」
また言った留美さんだ、そして。
実際にだ、留美さんは二週目に入ってすぐにその最後の一機を撃墜された。そのうえで得点ランキングに自分の名前、留美さんのRUMまで入れて言った。
「この通りだ」
「ううん、本当にね」
「やられたな」
「そうなったね」
「お兄ちゃんなら違うが」
そのゲーム好きのお兄さんならというのだ。
「二週目どころか四週目五週目とだ」
「クリアー出来るんだね」
「そして得点を上げていく」
「本当に凄いゲーマーなんだね」
「だからゲームメーカーにも就職してだ」
そしてというのだ。
「楽しく仕事をしているのだ」
「ゲーム自体が好きなんだね」
「その通りだ、お兄ちゃんには負ける」
「ううん、何か留美さんって」
「私がどうした」
「いや、お兄さん好きなんだね」
「兄妹だからな」
このことからだ、留美さんは僕に答えた。
「嫌いな筈がない」
「兄妹だからなんだ」
「ずっと一緒に育ってきたのだ」
それ故にというのだ。
「泣かされもして悪戯もしたが」
「それでもなんだね」
「絆があるのだからな」
「好きなんだね」
「情だ」
「兄妹のだね」
「それがあるのだろう」
留美さんはゼビウスの画面から立って言った。
「だからだ」
「兄妹だね」
その言葉を聞いてだ、僕は詩織さんのことを思い出した。まさかと思うけれど詩織さんは僕の妹かも知れないからだ。
「そうだね」
「義和はいないな」
「わかっている限りではね」
詩織さんのことは置いておいてだ。
「そうだよ」
「お父上のことだからわからないにしてもだな」
「何人兄弟姉妹がいても驚かないよ」
あの親父だからだ、それこそそうした人が百人いても僕は覚悟はしている。
「正直ね」
「しかし今のところはだな」
「いないよ」
本当にわかっている限りはだ。
「まだね」
「そうだな、だからか」
「兄弟のことはわからないよ」
「しかしだ」
留美さんはその僕にさらに言った。
「いるとまた違う」
「そうなんだね」
「一人ではないからな」
兄弟という意味においてだ。
「また違う、中には仲が悪い家もあるが」
「そうじゃないとだね」
「いいものだ」
「そうなんだね」
「また言うが一人ではないからな」
それでというのだ。
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