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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第七十一話 レトロゲームその四

「この人ならって思ってもらうこと」
「それこそがだな」
「本当の強さだってね」
「その通りだ、人を殴って従わせることはだ」
「弱いよね」
「弱者だ」
 留美さんも言い切った。
「下らない輩だ」
「やっぱり人には徳がないと」
「誰もついてこない」
「従っていても」
「それは心からではないからだ」
 それで、というのだ。
「いざという時に背かれたりする」
「それは徳がないからですね」
「それは相手が子供でも同じだ」
 血を分けた肉親でもだ、その相手が。
「暴力を振るわれた相手は覚えている」
「その痛みをですね」
「恨みと共にな、そしてだ」
「いざという時に」
「動かないかだ」
「背かれるんですね」
「そうした相手を慕う筈がないからな」
 自分に暴力を振るう相手をだ。
「それでそうなる、そしてだ」
「そうしたことをされる人は」
「弱者だ」
 留美さんも言い切った。
「本当の意味での弱者だ」
「暴力を振るう人は」
「私もそう思う」
「そうだよね、僕もそう思うよ」
「義和のお父上はわかっておられるな」
「女の人についてもね」 
 その親父の大好きなことでもだ。
「暴力を振るう人はね」
「最低だな」
「僕には絶対にそんなことをする人間にはなるなって言ってたよ」
「その通りだな」
「後輩にもそうしたことはするなってね」
「当然のことだ、腕力や立場を使ってそうしたことをしてはだ」
 それこそというのだ。
「人として間違っている」
「その通りだね」
「人間として最低だ」
「まさにだね」
「私もそうした輩は軽蔑する」
「じゃあ留美さんから見ても」
「君のお父上は尊敬出来る人だ」
 そしてだ、僕にこうも言った。
「総帥さんもわかっているのだ」
「そのことも」
「そうだと思う」
「そうなんだね」
「やはり立派な父上だ」
 言葉で太鼓判を押してくれた。
「実にな」
「留美さんもそう言うんだね」
「事実だと思うが」
「暴力を振るわないで」
 僕はこのことからはじめた。
「借金もなくて」
「お金も入れてくれているな」
「今もね」
 今はお給料を貰ってるからいらないのにまだ未成年だからと言ってだ。親父は笑って送り続けてくれている。
「それに毎日家に一回は帰って来て」
「どうしてもという時以外はだな」
「さっき話した通りね」
「ではだ」
「いい親父なんだ」
「立派なな」
「あえて言うよ」
 僕は留美さんにこう返した。
「それは普通じゃないかな」
「どれもだな」
「うん、本当にね」
 そして何よりも遊び人だ、とんでもないレベルの。
「あの破天荒さでもなんだ」
「そうしたことが全て出来ていればだ」
「立派なんだ」
「そうだ」
 実にという口調での返事だった。 
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