八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十話 軽食その九
「食べられるわ」
「あっ、そういえば」
「そうね。デザートにアイスがいつもあるけれど」
「そのアイスの中にね」
「抹茶アイスもあるわ」
丁度僕が食べているそれがだ。
「だから」
「それを食べてもいいし」
「他にもね」
「あるのね」
「お抹茶自体を飲んでもいいし」
「ああ、グリーンティー」
「それもいいわ」
「グリーンティーはね」
モンセラさんはグリーンティー自体のことに言及した。所謂お抹茶だ。
「ここにもあるわね」
「じゃあそれはどうかしら」
チャチーリアさんはあらためてイタワッチさんに言った。
「飲むのは」
「いいかも」
イタワッチさんはドリンクコーナーの看板に書いてあるそのグリーンティーという文字を実際に見たうえで述べた。
「それもね」
「ええ、しかも冷えててね」
「甘いわね」
「美味しいわよ」
「それならね」
「お抹茶は本来はだ」
留美さんがここで真剣な目で皆に言った。
「熱くだ」
「しかもお砂糖が入ってなくて」
「甘くもない」
「そうよね」
「普通のお抹茶は」
「そうだ、茶道のお茶はだ」
まさにそれはというのだ。
「そうしたことは一切しないのだ」
「それだと苦いわね」
「それもかなりね」
「というかかなり渋くて」
「飲めないかも」
「いやいや、それがだ」
その本来のお抹茶についてだ、留美さんは熱く語りだした。
「グリーンティーは別の美味しいお茶と考えてだ」
「お抹茶はお抹茶」
「そう考えて」
「そしてそのうえで」
「飲むものなのね」
「そうだ、お抹茶は甘いものを食べたりした後でだ」
茶道にお茶は付きものだ、そのことを認識しての言葉だ。
「飲む、そうすればすっきりする」
「つまり紅茶やコーヒーと同じです」
千歳さんは堅苦しさがどうしてもある留美さんをフォローする形でイタワッチさん達に穏やかな声で話した。
「お口なおしです」
「お口なおしにしては」
「凄く渋くて」
「軽く飲めるものじゃないみたいな」
「そんなお茶だと思うけれど」
「いえいえ、茶道も普通に考えて」
そのうえでとだ、千歳さんはあくまで穏やかに話す。
「くつろいで飲めばいいですし」
「正座して?」
モンセラさんは茶道での常を真顔で指摘した。
「くつろぐの?」
「まあそれは」
「正直正座なんかしたらね」
それこそというのだ。
「くつろげないわよ」
「それを言われますと」
「茶道はくつろげないでしょ」
「まあそうした時もありますが」
やや苦しい感じでだ、千歳さんはモンセラさんに話した。
「普段飲まれる時は」
「茶道でもなの」
「別に正座が苦しければ」
「しなくてもいいのね」
「畑中さんもそう仰ってますよね」
「あっ、たしかに」
モンセラさんもその言葉に頷いた。
「そうよね」
「はい、あの人の言われる通りです」
「茶道でもなの」
「くつろいでです」
「飲んでいいものなのね」
「そうです」
茶道のことのことだ、千歳さんは話した。
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