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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十九話 水着選びその十

「うちのアパートの娘達はね」
「日本人でもか」
「ええ、大きい娘多いよね」
「胸がか」
「そう思うけれど」
「そういえばそうか」
 言われてだ、留美さんも頷いた。
「私達のアパートはな」
「そうした娘多いわね」
「そうだな」
「けれどそれもなのね」
「そうだ、人それぞれでだ」
 それでというのだ。
「一概には言えない」
「そういうものね」
「日本人の体格は確かによくなったが」 
 昔と比べてだ、何でも幕末の日本人の成年男性の平均身長は一五四センチ位しかなかったらしい。栄養の関係で。
「それでも胸のことはだ」
「平均して大きくなっていませんか?」
 その日本人の千歳さんが留美さんに尋ねた。
「トータルですと」
「そうかも知れないがだ」
「一概にはですか」
「言えないだろう」
「そういうものですか」
「しかし胸はだ」
 留美さんは今度はその胸のことを話した。
「水着を着るにあたってな」
「大きな問題ですね」
「そうだ、そのことも考えつつだ」
 そのうえでというのだ。
「着ていこう」
「わかりました、それじゃあ」
 千歳さんも頷いてだ、そしてだった。 
 六人であれこれと話をしつつ水着を選びはじめた、僕はその皆を見ているだけだったけれど暫くしてだった。
 着替えコーナーからだ、テレサさんの明るい声が来た。
「義和、いい?」
「何?」
「ちょっとこっち来て」
 こう僕に言って来た。
「いいかな」
「何かな」
「見て欲しいの」
 かなりダイレクトな言葉だった。
「いいかな」
「僕でいいんだ」
「義和だから言うの」
 返事はこうしたものだった。
「いいから来て」
「うん、じゃあね」 
 僕はテレサさんに応えてその着替えのコーナーに向かった。そしてテレサさんがいるそのカーテンの前まで来てだった。
 あらためてだ、こうテレサさんに告げた。間違いなくカーテンの向こうにいる彼女に対して。
「来たよ」
「有り難う、じゃあね」
 テレサさんの声がしてだった、すぐに。
 そのカーテンが右から左にさっと開いてだ、その中から。
 テレサさんが姿を現した、けれど普段の私服姿でも学校の制服姿でもテレサさんが大好きなメイド姿でもなく。
 水着姿だった、その水着は褐色の肌によく合う白いビキニだった。下の左右には縛っている紐が左右に一つずつある。
 その水着姿を僕に披露してだ、笑顔で尋ねて来た。」
「どう?」
「ええと、そう聞かれても」
「返事出来ない?」
「困るね」
 その返答にとだ、僕は答えた。
「どうにもね」
「そうなのね」
「まあ、そうだね」
 それでもだ、僕はいきなり水着姿を見せられた衝撃に何とかこらえながらだ。そのうえでこうテレサさんに返した。 
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