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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十九話 水着選びその五

「私達の間だけでなくな」
「異性の目もなんだ」
「必要だと思う」
「恥ずかしいけれど」
 モンセラさんは笑って言って来た。
「それでもお願いするわね」
「しっかり見てにあってるかどうか」
 チェチーリアさんは少し恥ずかしそうだった。
「見て欲しいの」
「私もよ」
 テレサさんも皆と同じ考えだった。
「宜しくね」
「では私も」
 千歳さんは皆についていく感じだった、この辺り後輩だからだろうか。そういえば千歳さんだけはこの顔ぶれで一年生だ。僕も含めて他の皆は二年生だが。
「お願いします」
「それじゃあ」
「よし、では行こう」 
 留美さんは僕にあらためて言って来た。
「これからな」
「六階にだね」
「そこで水着を買ってだ」
「似合っているかどうかを」
「見てもらう、いいな」
「それじゃあね」 
 僕はまだいいのかなと思いつつもだ、そのうえで。
 皆と一緒に六階の水着を扱っているお店に向かった、六階まではエレベーターを使ったけれどそのエレベーターを降りてだ。、
 イタワッチさんはふとだ、こんなことを言った。
「いいエレベーターね」
「気に入ったの?」
「あの女の人がね」
「女の人?」
「エレベーターの係の人よ」
 イタワッチさんがここで言う女の人はこの人だった。
「素敵な感じで」
「ああ、エレベーターガールの人だね」
「日本の百貨店にはああした人もいるのね」
「最近減ってるらしいけれどね」 
 そのエレベーターガールという職業の人自体がだ。
「この百貨店ではまだまだ現役でね」
「それでいるのね」
「そうなんだ」
「奇麗な制服で立ってて」
「目立つよね」
「百貨店の趣き?」
「そうだね、さっきも言ったけれどかなり減ったけれど」
 百貨店においてだ。
「ああした人もそうだね」
「日本の百貨店の趣なのね」
「そうなんだよね」
「確かにだ」
 留美さんは寂しい口調で言って来た。
「最近エレベーターガールの人は減ったな」
「いない百貨店ばかりになってきたね」
「人手の問題か」
「そうだろうね、百貨店にしてもね」
「無駄と思った人は雇えない」
「それでだろうね」
「エレベーターは行きたい階のボタンを押せばだ」
 それだけでだ、まさに。
「その階に行ける」
「だから極論すればエレベーターガールの人はね」
「いなくてもいい」
「そうなるからね」
「だからだな」
「うん、最近百貨店も不景気だし」
「エレベーターガールの人もいなくなる」
 留美さんは目も寂しげだった、僕もそうなっていると思うけれど去りゆく趣を残念がるそうした寂しさがあった。
「そういうことだな」
「そういうことだね」
「やはり寂しい」
 留美さんはこうも言った。 
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