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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十七話 合宿の前にその十二

「幹部候補生学校のね」
「そうなの」
「江田島よりも呉なんだ」
「呉?」
「江田島の向かい側っていいかな。そこにある街で」
 広島ではかなり大きな街だ、広島市に次ぐ位の大きさだろうか。
「そこに海自さんの大きな港があって」
「そこに護衛艦があるのね」
「うん、かなりの数の護衛艦があるよ」
「そうなのね」
「そこにも行くから」
 合宿の時にだ。
「研修で自衛隊の港にもね」
「行くのね」
「社会勉強の為に」
「そうなのね」
「うん、ただね」
 僕はここでまた言った。
「あそこにあるのは護衛艦だけじゃないんだ」
「護衛艦だけじゃないって?」
「潜水艦もあるんだ」
「へえ、潜水艦もあるの」
「自衛隊の潜水艦は横須賀とあそこにあるんだ」
 この二つを港にしているのだ。
「それで呉にはね」
「潜水艦も停泊してるの」
「うん、それと潜水艦って小さいんだよね」
「小さいの」
「そうなんだ、最初見て護衛艦よりずっと小さくて驚いたよ」
 僕はもっと大きいと思っていた、写真のイメージで。けれどその黒い船は本当に小さくでちっぽけに見えた。
「とにかく写真からイメージするよりずっと小さいよ」
「護衛艦と比べてもなのね」
「相当にね」
「そうなのね」
「そのことも覚えておいてね」
「わかったわ、潜水艦は小さいのね」
 美沙さんも納得してくれた。
「レッドオクトーバーとは違うのね」
「古くない?」
 その映画は僕観ていたけれど思わずこう言い返してしまった。
「レッドオクトーバーって」
「いや、潜水艦っていったらね」
「その映画なんだ」
「あと沈黙の艦隊とか」
 今度は漫画だった。
「あれも潜水艦じゃない」
「そうだけれどあれも古いよ」
「そういえばどっちも私達が生まれる前の作品ね」
「うん、有名な作品だけれどね」 
 どちらの作品もだ。
「しかもどっちも原子力潜水艦だから」
「自衛隊に原子力潜水艦ないわよね」
「というか原子力を使った船自体がないよ」
 自衛隊にはそれこそ一隻もだ、どうも原発のそれと同じ問題が自衛隊にもかなり影響してのことでそうなっているらしい。
「日本にはね」
「そうなのね、原子力潜水艦なら大きいのね」
「何かそのロシアの潜水艦だとね」
 レッドオクトーバーだ、あの時代はソ連だった。
「小さいけれどプールまであったそうだよ」
「潜水艦の中に」
「訓練と運動の為にね」
「泳げないと駄目だからね、海軍にいたら」
「だからプールもあったそうだよ」
「潜水艦の中になのね」
「うん、プールがあったらしいんだ」
 もっとも客船のそれとは違うのは明らかだ。何しろ密閉されている潜水艦の中だ。
「そう聞いたよ」
「それは凄いわね」
「けれどそれは原子力潜水艦でね」
「大きいからなのね」
「そうしたことも出来て」
「海自さんの潜水艦は本当に小さいから」
 僕はその小ささを思い出しながら美沙さんに話した。 
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