八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十七話 合宿の前にその六
「そうしたことはです」
「しっかりとですね」
「弁えていてです」
そしてというのだ。
「教養もあるのです」
「前田慶次みたいに」
「そうです、あの人はです」
その前田慶次はというのだ。
「実はそうでした」
「教養人でもあったのですね」
「そうでした、茶道にも通じ」
実際にそうだったらしい、知力も備わっていたのだ。ただし政治には全く興味がなかったのでそちらとは無関係だったとのことだ。
「見事な知性も持っていたのです」
「そして品性もですね」
「仮にも織田家の重臣の一族ですから」
前田家のだ、後に百万石となる家だ。
「やはりです」
「それなりの品性もあったのですね」
「それも相当な」
「そうでしたか」
「はい、ですから」
「親父は本当の傾奇者ですか」
「そう思います」
こう僕に言ってくれた。
「ですから私はあの人が好きなのです」
「本物の傾奇者ですか」
「そうかと。ではそろそろ朝御飯なので」
「そうですね、食堂に行きましょう」
是非にとだ、こう話してだった。
僕達は食堂に向かってこの日の朝御飯も楽しんだ。朝御飯は和食で味噌汁がとても美味しかった。その朝御飯を食べて部活に出る為に学校に出ると。
一年生の後輩達からだ、こんなことを聞かれた。
「あの先輩、合宿ですけれど」
「合宿もうすぐですけれど」
「江田島ですよね」
「広島のあそこですよね」
「そうだよ、あそこでやるんだ」
そうだとだ、僕も答えた。
「今度の合宿はね」
「そうですよね」
「広島ですか」
「それも江田島」
「何かあれですよね」
「暑そうですよね」
「暑いよ」
その通りだとだ、僕は後輩達に答えた。
「夏の江田島はね」
「やっぱりそうですよね」
「あと鬼がいますよね」
「そうらしいですね」
「鬼?」
鬼と聞いてだ、僕はまずは目を瞬かせた。
そしてだ、後輩達にあらためて聞き返した。
「江田島に鬼が出るって?」
「何か赤鬼青鬼がいるって」
「そう聞きました」
「無茶苦茶怖いって」
「それで鬼ヶ島があるとか」
「そう聞いてます」
「ああ、わかったよ」
赤鬼青鬼と聞いてそこでわかった、僕は彼等にこのことを話した。
「それ海自さんの話だよ」
「海自さんって海上自衛隊ですか」
「あちたのお話ですか」
「そうだったんですか」
「そうだよ、江田島の幹部候補生学校ってあってね」
この学校のことだ、その話は。
「昔の海軍兵学校なんだけれど」
「そこにですか」
「赤鬼青鬼がいるんですか」
「あそこに」
「あそこの学生さん達を指導する幹事付って人達がいて」
何でもアルファ、ブラボーとそれぞれ呼ばれているらしい。海上自衛隊ではアルファベットのAがアルファ、Bがブラボーと呼ばれていると僕も去年聞いた。
ページ上へ戻る