八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十七話 合宿の前にその五
「親父は傾いているんですね」
「何かに戦っているかといいますと」
「違いますね」
「そうした突っ張ったものはありませんが」
「己の道を行くっていうか」
「そうした方かと」
「そうですね、普通に生きないで」
最初からそんなことは捨ててだ。
「遊びの中に生きる」
「それでいて一本の筋があられます」
人としての芯、それがだ。
「それを私は傾いていると思うのです」
「そして傾きは、ですね」
「ただの不良やそうしたものではなく」
「筋がある」
「そうです、それは中々出来ません」
ただの不良とは違うというのだ。
「外見だけなら誰でも出来ますね」
「そうですね、只の不良とか」
それこそだ、僕も頷く。
「誰でもなれますね」
「そうした格好になればいいだけです」
「荒れた服装にして髪型もそうすれば」
「普通になります」
ブレザーとかなら着崩してだ。髪の毛は染めてわざと荒くさせて。首にネックレスを見せる様にして付ければもうそれで完成だろうか。
「それこそ」
「そうですね、ですが」
「本当の意味で傾くことは」
「それは外見ではありません」
「その問題じゃないですね」
「そうです」
その通りという返事だった。
「そういうものではなく」
「また違うものですね」
「それがです」
「うちの親父ですね」
「そうです」
その通りだというのだ。
「私はそう考えています」
「そうですか」
「止様はマナーもしっかりしていますね」
「あれでそうなんですよね」
本当にだ、締める時はだ。
「しっかりと」
「タキシードなんかも」
そうした服を着る時もだ。
「着てます」
「それも完璧にですね」
「それが似合うんです」
息子の僕が見てもだ。
「着こなしもよくて」
「そうですね」
「それでダンスなんかも」
親父に連れられてパーティーに出た時に見た。
「上手です」
「そうした社交性もおありで」
「マナーもですね」
「無作法はありませんね」
「全然です」
それこそだ。
「お酒の飲み方もです」
「奇麗ですね」
「そうなんですよ」
「そういうところもです」
「傾奇者ですか」
「本来の傾奇者はです」
そう呼ばれていた人達はというのだ。
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