八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十六話 花火が終わってその七
「そうした放蕩無頼な遊びは趣味ではない」
「そうですよね、井上さんは」
「うむ、やがては結婚してな」
真面目なままでの言葉だった。
「妻となり母となり」
「そして生きられるんですね」
「そう考えている」
「そうですか、だからですか」
「そうした放蕩無頼は興味がない」
「遊びは、ですね」
「普通に遊ぶ」
親父みたいに放蕩無頼、ルールは弁えていても確かに破天荒な遊びはしないというのだ。ああしたことは。
「だからだ」
「そんなことはされずに」
「普通にですね」
「そう考えている、今もだ」
「花火を見られて」
「楽しんでいる、それでその花火もな」
「はい、いよいよですね」
井上さんに応えてだ、僕も言った。
「最後ですね」
「これが凄い」
確かな笑みでだ、井上さんは言った。
「必見だ」
「そんなになのネ」
「凄いあるか」
「うむ、見ることだ」
まさにとだ、井上さんはジューンさんと水蓮さんに言った。
「これからな」
「じゃあネ」
「見させてもらうある」
「空に大輪は無数に咲く」
その最後のことをだ、井上さんはこう表現した。
「まさに百花繚乱だ」
「そこまでネ」
「凄いあるか」
「うむ、凄いぞ」
「では」
「今から」
「私達も見させてもらいます」
円香さんと詩織さん、小夜子さんも井上さんに応えた。そして僕も。
心の中で身構えた、そのうえでだ。
最後の花火を見た、まずは赤い大輪の花火が上がり。
青に白、黄色に緑。橙に紫に。
様々な色の花火が次から次にどんどん上がる、それを見て。
皆うっとりとしてだ、こう言った。
「これはネ」
「思っていた以上ある」
「最後にこれは」
「もうね」
「最高ですね」
「この花火達がだ」
まさにとだ、井上さんは微笑んで言った。
「今も上がっているがだ」
「百個もあがル」
「そうあるか」
「ではまだ」
「上がるのね」
「そうですね」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「このまま続く」
「そう、じゃア」
「まだまだあるな」
「続きますのね」
「そして実際に百発」
「それだけ上がるのね」
「そうなのだ、百花繚乱といったが」
まさになのだ。
「本当に百発上がるのだ」
「そうなんですよね」
僕は知っているのでこう返した。
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