| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十五話 夏の花火その十

「それでねまあ実際はわからないけれど」
「小野小町さんもですわね」
「それと落合さん」
 詩織さんはこの人の名前も出した。
「落合博満さんね」
「野球の」
「ええ、あの人も秋田よ」
「凄い人ですわね」
「まあね」 
 ここでだ、詩織さんは微妙な顔になって円香さんに答えた。
「それはね」
「何かあまり嬉しそうではないですわね」
「私阪神ファンだから」
「あっ、あの人阪神にはいませんでしたわね」
「中日にいたでしょ」
「それに巨人に」
「主に中日ね」
 実は最初に入団したのはロッテだった、そこで三年連続首位打者も三度の三冠王も獲得した。凄いバッターだった。
「あのチームにいたでしょ」
「監督としても」
「それで今はゼネラルマネージャーでしょ」
「はい」
「敵だから」
 阪神の、というのだ。
「有名な人だけれど」
「お好きではないですか」
「凄い野球人だと思うわ、けれどね」
 微妙な顔でだ、詩織さんは話した。
「阪神の敵だったからね」
「素直には、なのですね」
「秋田にも阪神ファン結構いるのよ」
 最早全国区のチームだ、巨人の様にマスコミの誇大宣伝それこそ北朝鮮のそれの様な宣伝により作られた贋物の人気ではなくだ。阪神の人気は本物だ。
「けれどね」
「あの人は」
「そう、敵だから」
 他ならぬ阪神のだ。
「あまり手放しで好きになれないのよ」
「そこは難しいところですわね」
「けれど阪神強いじゃなイ」
「ぶっちぎりあるぞ」
 詩織さんにジューンさんと水蓮さんが言って来た。
「このままいったら優勝間違いなしでじゃないノ?」
「それならそこまで言うことないあるが」
「ええ、去年もそれで日本一になったけれど」
 それでもとだ、詩織さんはこう言うのだった。
「阪神は油断出来ないのよ」
「そうした状況でもですわ」
「負けるチームなのだ」
 円香さんと井上さんも言う、それぞれ暗い顔になって。
「もう絶対に優勝と思っていましても」
「急に負けだすのだ」
「そして手の中にあった勝利を落としてしまいますの」
「信じられない様な展開でな」
「もうそれって呪いネ」
「不吉あるな」
 二人もその話を聞いて納得した。
「カブスの山羊みたいナ」
「呪いがかかっているあるな」
「そうよ、あのチームに絶対はないの」
 ここでまた言った詩織さんだった。
「だから今年も楽観してないから」
「難儀ネ」
「怖い話あるな」
「ええ、相当にね」
 まさにと言う詩織さんだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧