八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十三話 夏祭りその十
「そして金魚も動きその重さがありだ」
「捕まえるのは楽じゃなイ」
「私達みたいに一匹も捕まえられないあるな」
「そして親父もわかっている」
金魚すくいの出店をやっているおじさんもだ。
「わざとそうした風にしているのだ」
「金魚を捕まえさせなイ」
「そういう風にしているあるか」
「そうだ、だからこその金魚を捕まえるにはだ」
まさにというのだ。
「技術が必要なの」
「ううム、そうなノ」
「そうしたものだったあるか」
「私達には技術がなかっタ」
「それで捕まえらなかったあるか」
「そうだ、そしてその技術はだ」
井上さんは腕を組んだ姿勢のままでさらに言う。
「経験で備えるものだ」
「実戦の中デ」
「そうしていくものあるか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「金魚すくいもだ」
「ううん、何か遊びといってもネ」
「かなり奥が深いあるな」
「こうした何でもない遊びだけれド」
「難しいある」
「そして射的だが」
井上さんは次はこちらの話をした。
「やるな」
「この後はネ」
「そっちにいくある」
「まずは私がやらせてもらう」
井上さんはここでもこう言った。
「それでいいな」
「そしてまずは手本をなのネ」
「見せてくれるあるな」
「そうさせてもらう」
こうしたことを話してだった、井上さんは実際に今度は射的のお店に行った。勿論僕達もそれについていった。
井上さんはお店のおじさんにお金を払ってからだ、おもちゃのライフルを手に取った。ライフルの先にはコルク栓の弾がある。
そのライフルを構えてだ、僕達に言った。
「ではだ」
「これからネ」
「射的開始あるな」
「そうだ、こうするのだ」
こう言ってだ、狙いを定めてだった。
井上さんは賞品を撃った、それは兎のぬいぐるみだった。
ぬいぐるみの頭を撃つ、するとだった。
ぬいぐるみは後ろに落ちた。親父はそれを見て苦い顔で言った。
「おめでとう」
「上手じゃなイ」
「そうするあるか」
「見たな、ただ撃つだけではないのだ」
「当てないとネ」
「駄目あるな」
「違う、撃ってだ」
構えを解いてだ、井上さんはここでもジューンさんと水蓮さんに話した。
「賞品を後ろに倒さないと駄目なのだ」
「今みたいに?」
「そうしないと賞品は手に入らないあるか」
「そうだ」
二人に強い口調で話した、僕と円香さんはその話を黙って聞いている。
「さもないと駄目だ、だから頭を撃ったのだ」
「ああ、そういうことネ」
「倒さないと駄目あるからか」
「当たったら倒れやすい頭にネ」
「当てたあるな」
「このぬいぐるみでは頭だ、だが」
井上さんはさらに言った。
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