八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十三話 夏祭りその八
「触られたか」
「押し倒されて胸を揉まれましたの」
「そうしてきたか。いつものことだ」
「婚約者がおられるとのことですが」
「異性の相手は一人なのだ」
その人は実は異性に対しては身持ちが固いことで知られている、だが同性の人に対してはなのだ。後輩ならば特に。90
「だが同性は何人でもいいと考えていてな」
「同性愛は浮気にはならないですね」
「そう考えていてだ」
そして、なのだ。あの人は。
「女の子には手を出すのだ」
「わたくしもそれでなのですわね」
「セクハラをされたのだ、触るまでで止まるがな」
「お酒が入ると、ですわね」
「そうしてくる、困ったことだ」
「本当に驚きましたわ」
「そうだろうな、しかしだ」
それで、とだ。また話した井上さんだった。
「根は悪い人間ではない、むしろ逆だ」
「いい方ですわね」
「そうなのだがな」
「困った方でもある」
「その通りだ、どうにかならないものか」
「何か凄い人いるネ」
「そうあるな」
ジューンさんと水蓮さんも二人で話す。
「大酒飲みでセクハラ」
「困った人ある」
「私達も人のこと言えないけれド」
「そうした人もいるあるか」
「というか日本にもネ」
「色々な人がいるあるな」
「いるよ」
日本人についてだ、僕は二人に話した。
「本当に色々な人がね」
「女の子でも女の子にセクハラネ」
「しかも大酒飲んでからとは、ある」
「お世辞にも褒められたことじゃないヨ」
「かなり引くある」
「うむ、私も友として注意しているが」
しかしと言うのだった、井上さんも。
「それはあらたまらない」
「巫女としても先輩としても素晴らしい方ですが」
円香さんも言う。
「そのことは」
「誰もが欠点があるからな」
「はい、あの方についても」
「何かと難しいことだ」
「欠点のない人もいませんね」
「日本人は慎み深いと思ってたけれド」
「人それぞれあるな」
ジューンさんと水蓮さんはここでこう言った。
「まともな人もいれバ」
「そうでもない人もいるあるな」
「まともではないな、確かに」
井上さんも否定しなかった、その人について。
「困ったことだ」
「悪人でないにしても」
僕もまた言った。
「困った人はいますね」
「その通りだ」
こうした話をしながらだった、僕達はお祭りに入った。そして井上さんは実際にだった、まずはお好み焼きを買ってだった。
一枚ぺろりと食べてからだ、僕達に言った。
「ここからだ」
「本番ですね」
「まずはお好み焼きを食べた」
「それで、ですね」
「食べるぞ、そしてだ」
「飲まれますね」
「ビールだ」
井上さんは意気込んで言った。
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