破壊ノ魔王
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一章
9
ぼくはシルク。遠い遠い地より、ここまできた
雫神(シズクガミ)の一族として、ぼくにはやらなければならないことがあるからだ
でもこの世界は思ったよりも障害物だらけで……
「道を教えて下さい」
「案内してやる。ついてきな」
…………で、いまに至る
気づけばよかった!まずは知識を得るために図書館を探してたのに……こんな山奥の洞窟までついていったぼくがバカだった。逃げだそうとしたら強面のおじさんたちが捕まえて放してくれないし……やめろって言っても聞いてくれないし……
ひっどいよ!やめろっていってるのがわかんないのかー!!
…………そしてぼくの前には閉じ込められた子供と真っ暗な牢
むり。
むりむりむりむりむりむりむり!!
「えええぃ、放さないなら……」
使うな、見せるなって言われてたけど、これは非常事態だ!仕方がない!
「くらえーーー!!!」
くらえくらえ!雷攻撃だ!ほーら、バリバリ!やめてやんないぞ……というか、あれ?止まんないんだけど……
バリリリリっっっ!
…………
あれ、どなたに、当たった?
結構、やばいと、思うんだけど
結構、痛いというか、なんというか……
まぁいっかー!
倒したぞ!こんちくしょー!!!
「クソガキが」
……………………
……………………………………詰んだ。
「……で?クソガキ。世界を救うなんて世迷い言は置いといて、さっきのはなんだ。ティナじゃねぇなら何の細工をしてやがる」
ぼくの全力電撃をくらってもケロンとしているこのめちゃめちゃ怖い人は、たぶんすごく強いティナを持ってて、ここから助けてくれる力をもっている。そんな優しさを持ってるかどうかは別としてだけど。
「て、ティナじゃねーし!細工もしてねーし!」
「要点だけいえ、クソガキ。何かって聞いてんだよ」
こっわぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!
言わなきゃコロサれる!でも……これは秘密の切り札。そう簡単に教えるわけにはいかない
よし、頑張れ!シルク!
「こ、ここっから、助けてくれたらおしえる!!」
「あ?何なめくさったこと言ってんだよ」
ぎゃああああああ!!!!
「まぁまぁよいだろう、かわいいワラシをこれからわざわざ殺さずとも。先程の力にしろ、子供の志す指命にしろ、妾は興味深く思うがなぁ……」
「黙ってろ、吸血鬼」
「黙らぬし、退くわけにもいかぬ。どうだ?魔王。妾と一戦交える気か?」
銀髪のおねーさんと、怖い男の人は、しばらく睨み合って……目をそらしたのは男の人の方だった。聞こえるようなため息をついて、いかついおじさんのとこへ行ってしまった
「あれ、もらってく」
「は?だから困るって!人数足りなくなるだろ?!」
「奪ってくわけじゃねぇよ。コレが商売なら、俺も一人の客だろ?これで足りるだろ」
男の人は無造作に懐に手をいれると……
ジャラジャラジャラジャラ
誰もがあんぐりと口をあけるほどの宝石をおじさんの手につみあげた
「ぜ、ゼロどの!?」
「宿代こみで。足りねぇとか言うなよ。おい、クソガキ」
は、はい!!
「逃げるなよ。その時は容赦しねぇ。お望み通り、助けてやったんだから借りは返してもらう」
…………ぼくは、やらかしてしまったのかもしれない
「よかったのぅ、ワラシ。とりあえずは安心して眠れるだろう?」
盗賊につかまって、どこかに引き渡されて、そこから逃げ出すほうがよかったのかもしれない。遠回りにはなっても、きっとそっちのほうが安全だった
あの男の人は、相当……やばい人だ
「ぼ……ぼくの名前はシルクだ……」
幸先悪い。悪すぎる。
ぼくはどうなってしまうのだろう……
いや
それでも指命があるんだ、ぼくには
負けてられない
強いやつをとりあえず味方につけたのは幸運と思うんだ。きっとあの人にかかれば脅威なんてない
利用するんだ
ぼくの都合の良いように、利用して利用して……
指命が叶えば逃げ出してしまおう
そのあとのことなんか……知ったこっちゃないや!
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