八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十一話 神仏はその二
「格好いいかな」
「破天荒でもそこに筋があれば」
「人の道に背かないと」
「格好よさがありますわ」
「そうなんだね。僕の思う格好よさは」
「どうしたものでしょうか」
「古いかも知れないけれど」
この前置きからだ、僕は円香さんに話した。
「海軍みたいなね」
「帝国海軍ですわね」
「ああしたのがね」
「義和さんの思う格好よさですか」
「服をぴしっと着こなした」
それこそだ、海軍将校の様にだ。
「ああいうのだけれど」
「確かに帝国海軍は格好良かったですわね」
「そうだよね、あの詰襟の軍服がね」
「冬は黒、夏は白で」
「どっちも格好いいけれど」
「そうした端正な着こなしですか」
「うん、そうした人がね」
それこそだ、スーツとか軍服やコートを糊を効かせて整えて埃一つない様なそうした感じの着こなしの人がだ。
「いいって思うんだ」
「真面目な着こなしですわね」
「そういうのがいいと思うけれど」
「確かに。そうした着方も」
「いいよね」
「はい、格好いいですわ」
円香さんははっきりと頷いてくれた。
「そちらもまた」
「そうだよね」
「わたくしも好きです、それと」
「それと?」
「あと神主の服を奇麗に着た」
「円香さんはそちらも格好いいって思うんだ」
「陰陽師みたいでいいですわよ」
話を聞いてだ、僕は実際に陰陽師を思い出した。具体的に言うと安倍晴明さんだ。
「あの服を着ますと」
「お父さんやお兄さんが着てたんだ」
「この目で見ていませんが陛下も」
「あっ、天皇陛下」
「即位の礼の時のお姿は本当に素晴らしかったです」
「神道の総本山でもあられる方だからね」
天照大神の子孫で日本のあるゆる家の宗家とされている方だからだ、神道は皇室と共にある存在なのだ。
「そこはやっぱりね」
「はい、ただご本人が着られているだけでなく」
何処かうっとりとしてだ、円香さんは僕に話してくれた。
「そこに歴史がありますので」
「皇室のだね」
「連綿と続いている」
皇紀によると二七〇〇年近いそれがだ。
「もう違います」
「ううん、そこまでの違うんだね」
「はい、お父様やお兄様よりも」
それこそという口調での言葉だった。
「違いますわ」
「歴史、伝統がだね」
「そうです、わたくしのお家は一二〇〇年位です」
これも相当長いと思った、話を聞いて。
「おおよそですが」
「それも凄いと思うけれど」
「いえ、やはりです」
「二六〇〇年以上と比べたら」
「しかも皇室が神道のいえ本朝の宗家ですから」
「そのことからもだね」
「そうしたお姿になられても」
礼装、日本の古来のそれになられてもというのだ。
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