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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十話 夕刻その十三

「それでなんだ」
「ご主人が教会長さんになられてるのですか」
「そうなんだ、娘さんが三人いてね」
「では長女さんが跡をですか」
「継ぐみたいだね、今その人大学生でね」
 高校生の時から天理の方に行っている、高校は天理高校だ。野球や柔道やラグビー、吹奏楽で有名なあの部活だ。
「多分その人が教会を継ぐけれど」
「別の教会からですのね」
「ご主人迎えるだろうね」
「そこは神社も同じですの」
「そうなんだね」
「神社は兄が継ぎますが」
 円香さん自身はというと。
「わたくしは神社に嫁ぐか。それか」
「普通のお家に?」
「この街にいたいとも思っていますわ」
 横からじっと僕の顔を見てだ、微笑んでの言葉だった。
「それもいいですわね」
「八条町っていい街だしね」
「はい、ですから」
「そうだね、それもいいよね」
「まだ考え中ですの。それで天理教の教会ですが」
「八条分教会のことかな」
「ご主人が見付かるといいですわね」
 何か他人事でない感じの言葉だった、今の円香さんの言葉は。
「本当に」
「そうだね、何か高校の後輩の人がたまたま同じ系列の教会の人で」
「ではその後輩の方と」
「一緒になるかもって話も聞いたよ」
「あら、年下の方と」
「何でもその人高校二年で僕の同じ歳らしいけれど」
 こjのことは教会で信者の人から聞いた話だ、娘さん自身は全く気付いてないらしい。
「その彼が娘さんにかなり入れあげていて」
「強くですのね」
「うん、何度も何度もアタックしてるらしいから」
「何度も」
「そのうちね」
 後はその人の努力次第というか娘さんが気付くかどうかだ、何か娘さん自身もお姉さんみたいな感じで接しているらしい。
「上手くいくかもね」
「その方の応援したいですわね」
「娘さんの?」
「いえ、後輩の方の」
 アタックしている彼をというのだ。 
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