八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十話 夕刻その十二
「つまり生徒は駒ですわ」
「自分の得点、出世の為のね」
「だから自分の気に入らないことがあれば」
「本当にちょっとしたことで、だよね」
「とんでもない暴力を振るいますの」
「相手の人格なんか認めていないんだね」
「そうでないと出来ませんわ」
そこまでの暴力を振るうことはというのだった。
「そうした人から教わりましても」
「いいことは何もない」
「全くありませんわ」
円香さんはここでまた言い切った。
「そうした人は剣道家ではありません」
「ならず者かな」
「はい、学校の先生はです」
まさにこの職業の人達はというのだ。
「日本で最も暴力常習者の多い世界でしてよ」
「学校の先生の暴力って指導で済むしね」
「そう言い訳が出来ますので」
「だから余計に悪いんだね」
「そうなのでしてよ」
まさに、というのだ。
「だからなのですわ」
「そうした先生がいてだね」
「消えませんの」
「厄介なことだね」
「ですからそうした先生には絶対に近寄らない」
「それが一番だから」
「わたくしもですわ」
円香さんは眉をさらに曇らせて言った。
「そうした先生の部活には近寄りませんわ」
「入らないんだね」
「幸い通っていた中学も高校もそうではありませんでした」
「ああ、地元の」
「はい、最初は奈良に通っていましたの」
その奈良の高校にというのだ。
「そうしていましたの」
「それでこっちに転校して」
「八条荘に入りましたの」
「そうだったんだね、ただ」
今度は僕から言った。
「どうしてこっちに来たのか」
「転校の理由ですわね」
「神職の資格を得られるからだったね」
「はい、八条学園は日本で数少ない神職の資格を得られる学校ですわね」
「八条大学でね」
その宗教学部でだ、他にも仏教の各宗派やキリスト教のカトリックやプロテスタントの聖職者、天理教の会長さんの資格も得られる。
「それで高校からだったね」
「入りましてじっくり学びたいと思いまして」
「転校したんだね」
「両親にも勧められましたの」
「転校をなんだ」
「それまでは大学からと考えていましたの」
神職の資格を得る勉強をしようと考えていた、円香さんは僕に話してくれた。
「神社に嫁ぐことも考えられますし」
「神社の奥さんになんだ」
「多いのでしてよ」
「神社の娘さんが神社に嫁ぐことは」
「お寺や天理教の教会でもでして」
「やっぱりそうした場所で生まれ育ってわかってるから」
「嫁いで、ですの」
家庭を持って、というのだ。
「そうなりますの」
「さっき天理教の教会の話も出たけれど」
「はい、ご存知ですので」
「うん、僕も天理教の教会に出入りしてるけれど」
その八条分教会だ、八条家が信者として所属している教会だ。ご本家はいつもその教会にかなりのお布施をしている。
「あそこの教会は奥さんが教会に生まれて」
「それで、ですのね」
「別の教会からご主人が入ってね」
そしてだ、あの教会は。
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