八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十話 夕刻その十一
「ですから」
「それで、だね」
「はい、そう無体なことは出来ません」
「道場だとだね」
「悪い先生の評判はすぐに広まります」
「悪評って世間だとあっという間に広がるからね」
「ですが」
円香さんは顔を曇らせて話した。
「学校ですと」
「いじめでもそうだけれど学校の悪い話って外に出にくいよね」
「どうしてもそうですね」
「閉じられた場所だから」
「だからです」
「そうした先生もだよね」
「外に評判が出ません」
出にくいというのだ、それも非常に。
「そしてチェックもされません」
「教育委員会があってもね」
「身内である場合が多いので」
「それでチェックも効かなくて」
「野放しになります」
文字通りにだ。
「ですから学校の顧問の先生は」
「そうしたことをする人が多いんだね」
「一般社会でそんなことをすれば」
生徒、つまり未成年にそこまでの暴力を振るえばだ。この場合は未成年でなくても絶対にしてはいけないことだけれど。
「即座に社会的に終わりですね」
「だよね、警察が来るよね」
「ですが外にそうした話が出ないので」
「生徒が観ていてもね」
「生徒が糾弾する方法を知っていないと」
大抵知らない、僕も親父に問題のある教師への対し方として教えてもらったことだ。暴力にどうして向かうべきかということで。
「外に出ません」
「そうなるよね」
「マスコミやインターネットで世に出せるのですが」
「それを知らないとね」
「そうした先生が残るので」
「どうしてもだね」
「はい、部活の場合はです」
剣道に限らないと思った、このことは。
「そうした先生がいます」
「部活っておかしな先生がいたりしてね」
「そうした先生がいれば」
「どうしたらいいかだね」
「その部活に間違って入っても」
「退部すべきだね」
「そうした先生には近寄ってはならないですから」
それで、というのだ。
「入るべきでもありませんし」
「間違って入っても」
「剣道は部活以外でも出来ますわ」
円香さんはきっぱりと言い切った。
「教わるべきでない方に教わってはなりません」
「若し教わったらね」
「いいことは何一つとしてありませんので」
「そうした人って生徒のことを思っていないからね」
「愛情なぞです」
生徒へのそれがだ。
「一切ありませんわ」
「そうだよね」
「ただ感情のままに暴力を振るい」
先生としてだけでなく人としてもあってはならないことだと思う。
「部活自体もですわ」
「顧問をしていることもだよね」
「自身の得点になりますので」
「先生としてのね」
「顧問をしている部活が活躍すれば」
「その先生の手柄にもなるから」
それでとだ、僕も言った。
「だからだね」
「しているだけですわ」
「つまり自分の為に教えてるんだね」
「そして、ですわ」
「自分の得点になるから」
「生徒を教えているのですわ」
そうした先生もいると聞いた、どうも学校の先生の世界の腐り方は想像を絶するものであるみたいだ。うちの学校はかなりましだと思うけれど。
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