八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十話 夕刻その八
「それでね」
「それで、ですね」
「お祭りの前の神社を見よう」
「お祭りの前の神社は」
どうしたものかとだ、円香さんは僕に話してくれた、。
「それはそれで賑やかなものです」
「こうした感じで」
「忙しいですわ」
「神社の人達がだね」
「はい、とても」
「お祭りの前は神社の人達がなんだ」
「一番忙しいです」
そうだというのだ。
「そしてお祭りがはじまると」
「それがテキ屋さん達になる」
「神社も忙しいですが」
しかしというのだ。
「その時はです」
「やっぱりテキ屋さん達にとっては稼ぎ時だから」
「お忙しいです」
そうなるというのだ。
「もうそれこそ火が点いた様に」
「そうなるんだね」
「あとこのお祭りは花火もありますね」
「これが凄いんだ」
花火の話にもだ、僕は応えた。
「物凄い数の花火がね」
「次から次にとですわね」
「打ち上げられるんだ」
それがまた凄いのだ。
「もうこれ以上はない位にね」
「ですから花火師の方々もです」
「忙しいね」
「今は最後の準備ですわね」
その花火のだ。
「そうしていますわね」
「そうだろうね、ただ花火は」
「火薬ですから」
「ちょっと扱いを間違えると」
それこそだ、ほんの少しのミスでだ。
「大変なことになるよね」
「その通りですわね」
「花火師の人も大変だね」
「まさに火気厳禁でしてよ」
「あと湿っても駄目だし」
その花火がだ。
「保存が大変だね」
「特に火のことが」
「そうだよね」
「ですが」
「うん、夏の夜はね」
「何といっても花火です」
これがなくてはだ、本当に。
「線香花火もいいですが」
「やっぱり花火は打ち上げ花火だね」
「わたくしはあの花火が一番好きです」
「そうなんだね、そういえば最近は」
僕はここで友香さんにこのことも話した。
「冬のスキー場でも花火が打ち上げられるよね」
「そうですわね」
「何でもそっちも人気で」
「j花火職人の方のいい収入になっていますわね」
「野球場でもね」
ホームランを打った時にあがる、とはいっても最近はドーム球場も多くてどの球場でも上がるかというとそうでもない。
「上がるからね」
「ずっと夏だけのお仕事でしたが」
「そうでもなくなっていますわね」
「そうだよね」
「冬の花火もいいものですわ」
円香さんはそのお嬢様口調で僕に話してくれた。
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