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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十話 夕刻その七

「僕は部活に出て家だとゲームをしたり」
「そうした夏休みでしたの」
「勉強もしてね。自分で料理を作ったり」
「充実していたのでは」
「充実はしていたね」 
 僕もこのことは否定しなかった。
「その時も。けれどね」
「こうして大人数で一緒にいることは」
「なかったから」
 本当にだ。
「こうした夏休みを楽しむこともね」
「いいと思っていますのね」
「そうなんだ」
 実際にとだ、僕は円香さんに話した。
「同じアパートでこれだけの数の娘と一緒にいることは」
「それも面白いと」
「そうも思うから」
 だからだとだ、また話した僕だった。
「この時を過ごすよ」
「そうしますのね」
「これからもね、ただ」
「ただ?」
「こうした夏休みってかなり特殊だね」 
 僕はこうも言った。
「二十四人の女の子と一緒に過ごすなんて」
「まあそれは」
 円香さんもだ、僕の話を受けてこう言って来た。
「ないですわね」
「まずね」
「ありませんわ。ただ」
「ただ?」
「そうなったらなったで楽しむこともですわ」
「いいんだね」
「そうも思いますわ」
 微笑んでだ、僕にこうも話してくれた。
「それもまた」
「じゃあね」
「はい、義和さんは楽しむべきですわ」
「この夏休みも」
「夏休みだけでなく」 
 さらにと言うのだった。
「それからのことも」
「二学期も冬休みも」
「三学期もですわ」
「ずっとだね」
「そうするといいですわ」
「皆と一緒のその時間を」
「はい、それとなのですが」
 円香さんは僕にだ、ここでだった。
 その顔を少し赤くさせてだ、こうも言って来た。
「今わたくし達は二人ですが」
「あっ、そうだね」
「はい、若しもです」
 おずおずとした感じでだ、前置きもして言った。
「義和さんさえよければ」
「ええと、このまま」
「一緒にいて宜しいですね」
「円香さんまさか」
「ただ一緒にいたいだけですから」
 僕に答えは言わなかった、ここから先は。
「それだけのことです」
「そうなんだね」
「では」
「うん、それじゃあ今日は」
「何処に行かれますか?」
「境内に行く?」
 神社のとだ、僕は円香さんをそちらに誘った。
「これから」
「それでは」
「うん、そこに行こう」
 こう僕は提案した。 
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