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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十話 夕刻その五

「奈良県の南は」
「そんなに凄い場所なんだね」
「そうなのです、高校も北に集中していますし」
「学校もなんだね」
「交通網の充実も比較になりません」
「何か奈良県の南は住みにくい場所なんだね」
 僕は円香さんの話をここまで聞いて率直に言うとこう思った。
「あそこは」
「そうなのです」
「否定しないんだ」
「奈良県民ですから」
 同じ奈良県の人だからというのだ。
「知っていますの」
「わかっているじゃなくて」
「そうですの」
「ううん、奈良っていっても色々なんだね」
「そうなのですわ」
「それで高田市はなんだね」 
 正確に言うと大和高田市だ、どういう訳か奈良の地名は他の都道府県にもあったりする。高田だけでなく郡山とかもだ。
「北にあって」
「開けていますの」
「人も多いんだね」
「そうなのでしてよ」
「そうだよね、それで今は」
「今は?」
「円香さん実家には戻らないんだ」
 神社のそちらにとだ、僕は円香さんに尋ねた。
「夏はずっとここにいるんだ」
「そうしますわ」
「八条荘にいるんだね」
「そうしますわ」
「部活がなくてもかな」 
 僕はそうした時もとだ、円香さんに尋ねた。
「高田には戻らないんだ」
「この夏はずっとここにいますわ」
「そうするんだね」
「そこにいてですわ」
 そしてというのだった。
「鍛錬を積んでいきます」
「剣道を」
「そして巫女としての修行を」
「あっ、そういえば」
「この町には八条神社がありまして」
 あの神社はだ、日本においても相当に有名でかつ大きな神社だ。それこそ春日大社に匹敵する位に大きい。
「そして」
「他にもなんだ」
「この学園にも神社がありますわね」
「ああ、あそこね」
「あそこの巫女の方ともお話したのですが」
「あの人?あの人はね」
 むしろとだ、僕はこう言った。うちの学園の神社と聞いて。
「あまりね」
「お酒が好きですわね」
「和菓子と一緒にお菓子を食べる人で」
 そしてだ。
「セクハラもするし」
「お酒を飲んでも」
「飲んでも?」
「巫女として立派な方で人としても」
「人でもなんだ」
「そう、素晴らしい方ですわ」
「僕あの人知ってるけれど」
 僕の知っている限りはだ、彼女は。 
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