八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十話 夕刻その四
「そうですの、山の何割かを」
「一つの山の何割かがなんだ」
「敷地になっていますの」
「それはまた凄いね」
「ですからそれは」
「奈良ならだね」
「結構ありますので。古い神社やお寺なら」
古都の神社仏閣、そこはというのだ。
「普通でしてよ」
「そうなんだね」
「天理教の教会にしましても」
神道や仏教と比べると比較的新しいこの宗教の教会もというのだ。教会といってもキリスト教のそれとは違う。
「山一つがそのまま教会になっていたりしますわ」
「山がなんだ」
「はい、あと大きな神社と同じ位大きな神殿がある教会もありましてよ」
「大きいっていうと」
「談山神社や三輪神宮位の」
「三輪神宮って相当大きいよね」
「実際にそれだけの大きさの教会がありますの」
奈良にある天理教の教会の中にはというのだ。
「どちらも桜井市に」
「ふうん、桜井になんだ」
「ありますの」
「あそこ長谷寺もあるけれど」
考えてみればその談山神社も三輪神宮もだ、本当に奈良県はあちこちに凄い神社仏閣がある県だ。羨ましい位だ。
「そうした神社もあって」
「大きな教会もありますの」
「宗教的には凄い場所なんだね」
「はい、わたくしの実家の神社とは離れていますけれど」
「円香さんは高田なんだね」
「そうでありますわ」
その氏子さんのお嬢さんがいる街だというのだ。
「高田の山の方にです」
「お家があるんだね」
「そうなのですわ」
「そうなんだね。奈良県っていっても広いしね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「神社仏閣、歴史に出て来る場所は吉野までですわ」
そこまでというのだ。
「吉野が奈良県南部の中心ですけれど」
「あの吉野葛とか南朝の」
「そこが入口で」
「もっとあるんだ、奈良の南は」
「はい、かなり広いですが」
それでもという口調でだ、円香さんは僕に話してくれた。
「北とは全然違いますの」
「山が多くて」
「人は少ないのです」
そうした場所だというのだ。
「あちらは」
「相当少ないんだよね」
「はい、南部全域合わせても奈良市よりもです」
「少ないんだ」
「それ位です」
「そこまで違うんだね」
「奈良県は北と南で違います」
全く、というのだ。
「人口も産業もです」
「どれもなんだ」
「南は本当に人も少なくて」
「何もないとか」
「そう言っていい位です」
そこまで人が少ないというのだ。
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