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天才小学生と真選組の方々。

作者:沖田
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夜兎との再会、コナン君の正体

「おい、大丈夫か?」
ファミレスで、土方さんが心配そうな顔で少年探偵団に言う。
ファミレスに来てからしばらくたっていたが、誰も、何もしゃべっていなかった。
「土方さん」総悟が窓の外を見つめながら言った。「そっとしておいてあげてくだせぇ。目の前で人が殺されるのを見たのは、こいつらにとっては衝撃的な出来事だったんですから」
「そうですよ」私も言う。「私たちにとっては日常でも、子供達にとっては…相当傷ついたでしょうから…」
自分でも言っていることが何なのかわからなくなってきた。文のつながりがおかしいのもわかっている。けれど誰も突っ込んでくれないのが妙に悲しかった。
そこからはしばらく沈黙が続いた。
次に沈黙を破ったのも、土方さんだった。
「お前ら」少年探偵団に手を差し出す。「これから行くはずだった事件現場の場所と被害者の情報の書かれた紙をくれ。ここからは俺たちだけで行く。」
少年探偵団が驚いたような目でこちらを見る。土方さんは気まずそうな顔で続ける。
「俺たちと一緒にいると、こんなことがこれからたくさん起きる。その度その度にこんなになってたら捜査、進むもんも進まねーだろ。」
「いやだ」コナン君が不意に言った。今度は真選組の視線が、コナン君に集中する番だった。「犯罪者を見逃すなんてできないし、それに」ふっと笑って、続ける。「お兄さんたち、探偵じゃないんだから、事件解決できるわけじゃないでしょ?」
忘れてた、とばかりにふっと息を漏らす。
「土方さんカッコ悪〜」総悟が軽い口調で言う。「カッコつけて『俺、かっこいいこと言ったぜ』的な顔で締めたのに、小学一年生にしてやられるなんてー」
「総悟テメェ表でろ!」
「土方、瞳孔。」
「今度はさん付け急にしなくなったなおい!おめーら2人共年上の人に対する心構えがなってなさすぎだろ!2人共表でろオラァ!」
「嫌でさぁ。あ、それと、さっきの言葉訂正。高校二年生にしてやられるなんて、でさぁ。」
「こ、高校二年生?」
土方さんが素っ頓狂な声を上げる。みんなの視線がゆっくりと平次君、和葉ちゃん、蘭ちゃんに集まる。
「なんでアタシたち巻き込まれなあかんの?なんもゆうてへんやん。なぁ、蘭ちゃん。」
蘭ちゃんも頷く。平次君とコナン君、哀ちゃんは厳しい目でこちらを睨むように見ていた。
「お前頭大丈夫か?高校二年生って言ったら、こいつらしかいねぇぞ。ま、どっちにしろ表でろ」
「「やーだ」」
「じゃあここで斬る」
「「むーり」」
「あーもう!」土方さんが急に席を立ち上がる。「こんなことしてても埒あかねえ。支払いしてとりあえず次の事件現場行くぞ」
土方さんの声でみんなが動き出す。
「ねぇお兄さん!」コナン君が立ち上がって土方さんの後に続こうとする私たちを引き止めた。「年で高校二年生って言ったの?蘭姉ちゃんたちは何も言ってないよね?」
きたこの質問。私は総悟に視線を送る。総悟が頷く。
私は振り返って言う。「あなたが高校二年生だからよ、江戸川コナン君こと工藤新一君?」
3人の顔が強張る。明らかに警戒した表情を浮かべている。
「何で知ってるの?って顔してるけど、理由は単純。私たちを描いた漫画がこちらの世界にはあった。つまり?」
「俺たちを描いた漫画が、そっちの世界にもあるって事やな…」
そういった平次君に、私は頷いた。
「…他に知ってる人は?」コナン君が厳しい表情で聞く。
「私と総悟だけ!大丈夫よ!」
「絶対に誰にもバラしやせんから、安心してくだせぇ。」
と言った直後。
「なるほどなぁ…だから高校二年生ってか?」
後ろから聞こえた声。
嫌な予感がしながら、私たちは後ろにゆっくり振り返る。
そこには瞳孔の開いた土方さん。
「あ、土方さん。せっかく今俺と恋奈しか知らないってことを証明したばっかなのに、信用を失っちまうじゃないですかぃ。」
「本当よねー。土方さんってKYだわ〜、マジ。」
「今はそれどころじゃねーだろ!」
「ってことで、土方さんも知っちゃったけど、この人こう見えて口硬いタイプだから、安心して!秘密はこの3人に留めるから!」
私がそう言うと、3人は少し警戒した表情を浮かべて、頷いた。
「コナン君?行くよー!」
「はーい!」外から蘭ちゃんの声が聞こえて、コナン君が答える。
それと同時に私たちはファミレスを出た。

2人目の殺害現場に着くと、そこは古びたアパートだった。
大家さんの許可を得て、殺害現場の屋上に行くと、先ほどと同じ、何の変哲もなさそうな屋上だったが、血の跡が痛々しく残っていた。
私たちは捜査を始めた。
30分ほど経ったが、警察と同じようなことをしただけで、目新しい発見は何もなかった。
「じゃあ、次の現場行くか」
近藤さんがそう言って、みんなが動き出そうとしたその時、上から赤い傘が降ってきた。私の背丈ほどありそうな大きい傘だ。
これは誰も声をあげなくても、夜兎が襲ってきたことはわかった。突発的にコナン君たちの前に壁を作る。
夜兎族がここにきたということは…阿伏兎たちもいる。
緊張しながら次の奇襲に備えていると、上から神威、阿伏兎、高杉、また子、万斉、それと夜兎が5人ほど降ってきた。
「久しぶり!」神威くんが笑顔で言う。「最後に戦ったの、いつだっけ?こっちに引っ越したから、もう二度と会うことはないと思ってたんだけどなぁ。」
「まさか異世界(こっち)まで付いてくるとはな」高杉が煙管をふかしながら言う。「金魚のフンみたいな連中だな」
「俺たちも来たくてこっちに来たわけじゃねぇよ」旦那が投げやりに言う。「トリップ装置のせいだよ。まさかお前らの見つけた新しい世界がこっちだったとはな」
「あーそうだ」阿伏兎が傘を肩に担ぐと、皮肉のこもった声で言った。「恋奈、この前団長にめちゃめちゃやられてただろ?大丈夫か?」
「ありがとお兄ちゃん」皮肉たっぷりの声で私は言い返した。「ところで、どうして元々の世界に縁もゆかりもないここに来たわけ?そこが私は気になってるんだけど?お兄ちゃん?」
「それは僕から説明するよ」神威くんが満面の笑みで言う。「春雨が何年か前に、異世界へのワープホールを宇宙空間で見つけていて、そこに僕たち第七師団と鬼兵隊が送り込まれて、異世界で数年前から暮らしていた夜兎族の、中村秀兎って人のとこで異世界の攻略をしようとしてたんだけど、その目前、その人が亡くなった、いや、殺されたんだ。んで、その人が殺されたのがここ。僕たちはその犯人を追ってるってわけ!」
「本当にそれだけアルカ?」神楽ちゃんが疑わしげに聞く。「もっとすごいこと企んでたりしないヨロシ?」
「それだけだよ」高杉が投げやりに言った。「ここは異世界。俺たちは最近ここに来たばかりだってのに、よく知らない世界で何か企んだって意味がねぇだろ?」
「犯人を見つけたら?」私も聞く。「そのあとはどうするつもり?」
「殺す」神威くんが邪悪な光を目に灯しながら言う。「僕たちの未来が断たれたんだもの、犯人の未来を断っても、犯人は文句が言えないでしょ?」
「犯人を殺しても、罪を償ったことにはならないよ」コナンくんの鋭い声が響いた。コナンくんが前に出てくる。「牢屋に入れることで、罪を償わせるんだ。それでも犯人の未来は断たれたことになるよ」
「面白いこと言う子供だね」神威くんがコナン君を見つめながら言う。「君、新聞に出てたよね?怪盗キッドを捕まえたとかなんとかで。見たよ、新聞。それと殺すか牢屋に入れるかは別だけど。」
そして私たちに向き直って言う。「とりあえず今回は僕たちの邪魔をしてないみたいだし、見逃してあげるよ。戦ってもいいけどね。僕たちも急いでるんだ。だから、あんまり邪魔はしないでよね?協力要請とかなら受け付けるから。じゃね!」
と言って、神威たちが去ろうとした時、総悟が叫んだ。
「天導衆もこっちに来てまさぁ!」
神威たちは一瞬動揺したそぶりを見せたが、すぐに去って行ってしまった。
 
 

 
後書き
近藤さんとザキの出番が少ないですが、温かい目で見守ってあげてください…。
自分でも将軍暗殺編に似てきていることがわかってます…。どうしても夜兎と戦ってほしくないので、天導衆を出しました…。 
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