天才小学生と真選組の方々。
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泊まる
前書き
阿笠はかせの「はかせ」がひらがなになっているのは、本名と区別するためです(本名は阿笠博士)。
ご了承ください。
何時間にもわたる事情聴取が終わり、みんなはやっと解放された。
「んあー」旦那がいつものことながらぼやく。「やっと終わったぜコノヤロー。あいつら俺たち拷問したいのかよコノヤロー。」
「うるさいぞ万事屋」土方さんがタバコに火をつけながら言う。「…ったくよ、警察が禁煙とはな。」
「あ?黙れ大串。警察ヅラしやがってよ、ここでは警察手帳も役に立たねーっつーの。」
「あ?お前を公務執行妨害で逮捕してやってもいいんだぜ?」
「あのな!」元太が言った。「おっさんたち、ウッセーんだよ。」
「「誰がおっさんだコノヤロー!!!!!!!!!!!!!」」
と、いつもの会話を見ながら歩いていると、私は重大な問題に気づいた。
「あーっ!!!!!!!!!!!!!旦那、土方さん、それどころじゃありませんよ!今夜、どこに泊まるんですか!」
みんなも、2人も目が覚めたように騒ぎ出す。
「こんな可愛いヒロイン…いや、ゲロインを野宿させるなんて!そんなことダメヨロシ!」
「ま、別に俺は土方が野宿して苦しんでる姿見れればそれでいいでさぁ。」
「んだと総悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!オメーが野垂死にしろ!」
「な?見たろ?真選組は、まとまりのないアイドルメンバーだな。」
「んだと万事屋ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!斬るぞコルァ!」
「土方さ…いや、土方。瞳孔開いてる。」
「んだと恋奈ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なぜ言い直したぁぁぁぁ!」
「みなさん、落ち着きましょうよ。子供たちも怖がってますよ?」
「んだと新八ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!まともなこと言ってるけどなんかムカツクわ!」
「なんでですか!最悪ですねあんた!」
いつものようにぶつかり合う万事屋メンバーと真選組メンバーを見て、子供達は、
「なんなんですかこの人たち」
「さっきから大声出して、恥ずかしくないのかなぁ…」
「本当に迷惑だよな、こいつら!」
と言う。当然、
「「「「「「「「ガキは黙ってろ!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」
と言われたのは言うまでもない。
子供達はさらに縮み上がってしまった。
それを見て、コナン君と哀ちゃんがハハハ…と苦笑いをこぼす。そして、力むみんなに、こう提案した。
「ねぇお兄さん達!僕たちと一緒に、阿笠はかせの家に泊まらない?」
それを聞いて、一同が「お?」という顔でコナン君を見やる。
「コナン君」蘭ちゃんがコナン君をなだめる。「いくら少年探偵団が泊まってるからと言って、阿笠はかせの家に急にこんな大人数でおしかけるのは、良くないと思うよ?」
「大丈夫ですよ!」光彦君が言う。「はかせ、最近誰もこなくて寂しいし、部屋が有り余ってるから僕たちを呼んだって言ってましたし、」
「それに!」と歩美ちゃんが後を継ぐ。「はかせ、ダジャレクイズの相手がいると喜ぶしね!」
「ダジャレクイズ?」土方さんが目を細める。
「おう!」元太君が頷く。「はかせが好きな、ダジャレクイズ!いつもくだらねえダジャレ繰り返してきて、困ってるんだよなぁ…」
「そんなことだったら早く言ってくだせぇ」総悟がいい、私の肩に手を置く。「適任がいまさぁ。恋奈さんでさぁ。」
「は?マジで言ってる、お前?殺すよ?」
「おーおー」旦那が鼻をほじりながら言う。「いいじゃねえか。お相手頑張れよー」
「いや旦那!マジ勘弁してくださいよ!なんで私がダジャレクイズの相手なんか!」
「いいんじゃねえか?」土方…いや、マヨ方まで加勢してくる。「お前、頭の回転早いしよー。」
「は?マジ殺すぞマヨ方。」
「大丈夫ヨロシ!恋奈の頭があれば、ダジャレクイズなんてお茶の子さいさいネ!」
「いや、神楽ちゃん、でも…」
「「「恋奈お姉ちゃん、よろしくね!」」」
「…お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
大声でシャウトする私の声が、廊下に虚しく響いた。
「じゃあ、コナン君、気をつけて帰るのよ?」
「うん!じゃあね、蘭姉ちゃん!」
園子ちゃんと毛利家の人々と別れ、子供達に道案内をしてもらいながら、噂の阿笠はかせの元に向かう。
数分ほど歩くと、面白い形をした家に着いた。
「ここか?阿笠はかせの家って。」
旦那が聞くと、子供達は頷き、チャイムを鳴らした。
ドアが開くと、白髪の初老の男性が出てきた。
「おお、今帰ったか。」
「ただいまはかせ!」「今日、他の人たちもいるんだけど、泊まらせてあげて!」
「他の人たち…?」
とはかせが言い、私たちの方に目を向ける。
「銀さんとそのご一行でーす」旦那が地味に自己紹介する。
「ああ…」はかせは少しびっくりした様子だったが、すぐに笑って、言った。「汚い部屋でよろしければ、どうぞ。」
「失礼します」
私は挨拶して入った。広々とした空間は、確かに一人暮らしにしては少し広めだ。
「さて、晩御飯にしようかのう」
そう言い、私たちに「ゆっくりして行ってくださいね」と挨拶してから、はかせはキッチンへと向かった。
私はため息をつく。長い夜が始まりそうだった。
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