八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十九話 夏祭り前日その五
「事故はどうしてもありますからね」
「ですから余計にですね」
「気をつけて欲しいです」
僕は心から言った。
「本当に」
「義和様も」
ここでだ、また言った畑中さんだった。
「そこはおわかりだと思います」
「だといいんですが」
僕はそこが心配になりまた言った。
「何しろ酒好きですし」
「飲酒運転ですね」
「それも不安なんです」
実際にだ、この気持ちは否定出来ない。
「何をするか」
「そうなのですか」
「はい、どうにも」
「それはご子息だからですね」
「やっぱりそれですね」
今の畑中さんの指摘にだ、僕は頷いて答えた。
「息子ですから」
「親子ならば当然のことですね」
「はい、自然と気になりますね」
「人は常に意識する関係が三つあります」
「そのうちの一つが親子ですか」
「そして夫婦と恋人関係です」
この三つだというのだ。
「どうしても常に意識してしまいます」
「恋人同士でもですね」
「はい、そこから夫婦になるかまではわかりませんが」
「それでもなんですね」
「人はどうしても意識してしまいます」
それも常にというのだ。
「それだけ強い絆だということです」
「親子もなんですね」
「そうです、止様も義和様もです」
親父が先に来たのは父親だからだろう、畑中さんはこうした順序はしっかりとわかって話していくれる人なのでそうだろうと思った。
「お互いをいつも気にかけておられて」
「それで、なんですね」
「いつも意識されています」
「そういうことですね、そして夫婦もですか」
「親子と同じだけです」
「いつも意識するものですね」
「私にしてもです」
畑中さんはご自身のことから例えてきた。
「結婚してからです」
「いつも奥さんをですか」
「意識しています」
「それだけ強い絆ということですね」
「そうだと思います」
「そうですか、ただ」
僕は親父のことから考えた、美人さんに目のないあの親父のことをだ。
「親父の場合は」
「奥様はですね」
「お袋ですけれど意識しているか」
それは、だった。
「あまり」
「そう思われていますか」
「はい」
実際にとだ、僕は答えた。
「そう思っています」
「左様ですか、止様は」
「畑中さん位意識されているか」
それはだった。
「正直あまりそうは思いません」
「そう思われましても」
「違いますか」
「大抵の人は常に意識しています」
お互いのパートナーのことをというのだ。
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