八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十九話 夏祭り前日その三
「しかし開戦直前にです」
「向こうについたんですよね」
「それで連合国が勝ったので」
イタリアのついたそっちがだ。
「戦勝国になりました」
「それで二次大戦もでしたね」
「途中で降伏して連合国に入ったので」
少なくともイタリア政府はだ。
「ムッソリーニは違いましたが」
「ムッソリーニは最後まで枢軸でしたね」
「捕まり処刑されています」
「そうでしたね」
「しかしイタリアという国自体はです」
「途中から連合国になったからですね」
「戦勝国になっています」
何か二次大戦で負けた日本の国民である僕にしては聞いているとどうにも釈然としない話だった。同じ枢軸国だったというのに。
「そのこともですね」
「友達が言っていました」
「それがイタリアなのです」
「外交が上手なんですね」
「戦争は確かに弱いですが」
畑中さんもこう言うのだった。
「しかしです」
「外交が強いので」
「勝っています」
「まずは外交なんですね」
「戦争は政治の一手段とです」
畑中さんはこうした言葉も出した。
「ありますので」
「イタリアはその戦争が弱いだけですね」
「しかし外交は上手です」
「そういえばフランスも」
僕はここでこの国のことを思い出した、ダオさんは祖国のかつての宗主国だったせいか結構馬鹿にしている国だ。
「負けまくってますね」
「実はあの国も」
「ナポレオンも最後負けてますし」
ワーテルローでだ、もっと言えばロシア遠征で酷い事態を引き起こしている。
「他にも」
「イギリスやオーストリアに大抵負けています」
「本当に大抵負けてますよね」
教科書を読んでいるとだ、とにかくフランスはやたら負けている。
「ハプスブルク家に」
「オーストリアとスペインですね」
「神聖ローマ帝国ですね」
ハプスブルク家はオーストリアの国家元首であり神聖ローマ帝国皇帝でもあった、そしてハプスブルク家がスペイン王家でもあった。
「ああした国にいつもでしたね」
「負けています」
「凄い敗率ですよね」
「しかし太国のままです」
常任理事国でいる、それで世界でも大きな顔をしているというのはやっかみだろうか。
「幾ら負けても外交が得意ならです」
「最後は笑えるんですね」
「はい、あれだけイギリスやハプスブルク家に負けても」
「大国のままでいられる」
「そういうものなのです」
「つまり大事なのは外交なんですね」
戦争での強弱でなくとだ、僕は畑中さんに考える顔になって尋ねた。
「そういうことですね」
「そうです、例えば幾ら喧嘩が強くとも」
畑中さんはここでこう僕に例え話をしてくれた。
「人付き合いが下手ならお友達が出来ず孤独ですね」
「それで孤独で」
「何かと苦労しますね」
「一人だと出来ること限られてますからね」
僕もここでこう言った。
「ですから」
「外交の方が大事なのです」
「戦争よりもですね」
「外交でものごとを解決すべきなのです」
「下手に戦争で勝つよりも」
「私はイタリアは好きです」
畑中さんは微笑んでだ、僕にこうも言って来た。
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