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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十九話 夏祭り前日その二

「お世辞にもです」
「強くなかったですよね」
「戦場では」
「ですよね、無茶苦茶弱かったですね」
「ほぼ勝っていません」
 戦場ではだ。
「フランスに攻め込んだのはいいのですが」
「ああ、ドイツにマジノ線突破されて死に掛けていた」
 そのフランスにだ、僕も畑中さんに応えて言った。
「そのフランスにですね」
「攻め込んだのですが」
「負けたんですよね」
「反撃に遭って国境まで押し返されました」
「そこからイタリア領に攻め込まれるところでしたよね」
「そこでフランスは降伏しましたが」
 本当に危うくだ、敗戦寸前の軍隊にそこまでやられるなんて僕もそうそう聞いたことはない。幾ら何でもと思う。
「しかしその戦い方はです」
「弱かったですね」
「イタリア人は十一人以上では弱い」
 つまりサッカーでは強いが、というのだ。実際イタリアのサッカーは相当強い。
「そう言われています」
「とにかく弱いですよね」
「そのイタリア軍がお好きですか」
「軍服が好きだそうです」
「わかりました」
 そう聞いてだ、畑中さんはここで頷いて答えてくれた。
「それならわかりました」
「イタリア軍は軍服のデザインは見事です」
「それ友達も言っていました」
「そうです、その格好よさは特筆すべきものです」
「戦場では弱くてもですね」
「はい、軍服は見事でして」
「それでいいって言っています」
 現在進行形でとだ、僕は答えた。
「軍服のデザインが」
「それなら納得です」
「それで着ていく服にです」
 僕はここで話を戻した。
「イタリア軍はどうかと」だ
「そうですか」
「はい、ただそんな服あります?」
「あります」
 即答だった。
「八条家には軍服がお好きな方もおられまして」
「それで、ですね」
「義和様が着られたいなら」
 それならというのだ。
「借りることが出来ます」
「イタリア軍のその服も」
「あります、陸空海共に。それに」
「それに、ですか」
「警察の制服もあります」
「イタリア軍のですか」
「その方が持っておられます」
 こう僕に話してくれた。
「ですから」
「僕が着たいならですね」
「どうぞ」
「わかりました、けれどイタリア軍は軍服のデザインはいいんですね」
「そうです、そして」
 僕にさらに話してくれた。
「実は戦勝国なので」
「それその友達にも言われました」
「左様でしたか」
「一次大戦でも二次大戦でも勝ってるって」
「一次大戦では最初から連合国にいました」
「開戦の時は」
「当初は枢軸国側にいました」
 つまりドイツの方にだ。ドイツ、オーストリアと一緒にイギリス、フランス、ロシアと対立していたのだ。しかし土壇場で、だったのだ。 
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