八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十八話 祭りの前その十四
「私はいつもそうしたのを飲んでるの」
「それでお酒は」
「ビールか日本酒でしょ」
「日本酒もなんだ」
「だって神社のお祭りじゃない」
それならというのだ。
「ビールは夏だからだとしてね」
「日本酒もなんだね」
「飲むものでしょ」
お酒なら、とだ。詩織さんはこのことについても言及した。
「御神酒でね」
「御神酒。いい言葉だね」
「八条神社って御神酒が多いって聞いたけれど」
「うん、凄く沢山持っててね」
実際にとだ、僕は詩織さんに答えた。
「飲めるよ」
「そうなのね」
「あと畑中さんから聞いたけれど」
僕は詩織さんにこうも言った。
「うちも出すらしいから」
「八条荘でもなの」
「住人、使用人の人達限定だけれど」
「飲み放題なのね」
「そう、日本酒とビールだけじゃなくて」
「他のお酒も出るのね」
「何でも飲んでいいらしいよ」
出すお酒ならだ。
「ウイスキーでもワインでもね」
「別にね」
ウイスキーとかワインとか聞いてだ、詩織さんは微妙な顔になってそのうえで僕にこうしたことを言った。
「お祭りの時はいいわ」
「ビールか日本酒なんだ」
「せめて焼酎ね」
「だからいいんだね」
「そうしたお酒はね」
「ワインとかもなんだ」
「日本のお祭りじゃない」
だからだというのだ。
「それならよ」
「もう日本酒とかをだね」
「飲みたいから」
こう言って僕にこだわりを見せた。
「そっちでいいわ」
「そういうことなんだ」
「そうなの」
「じゃあ日本酒もあるから」
「そっちはね」
目を輝かせての言葉だった。
「ご馳走になりたいわね」
「是非だね」
「ええ、やっぱりお祭りはお酒よ」
日本酒だというのだ。
「それでいくわ」
「うん、それじゃあね」
「お祭りの時はそういうのを飲むから」
こう笑顔で言ってだった、僕達は二人でホットティーを飲んだ。そうして楽しんでだった。僕達は祭りの日を待っていた。
第五十八話 完
2015・9・1
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