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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十八話 祭りの前その七

「日本がイタリアみたいになってもな」
「軍隊があれだけ弱いと困るだろ」
「殆どまともに勝ってないだろ」 
 戦場ではだ。
「というか攻めて捕虜になって小突かれて大泣きとかな」
「それで命乞いとかな」
「すげえ恥ずかしいぞ」
「見ていて悲しくなるぞ」
「ああ、だから捕まえたチトー=パルチザンもな」
 イタリア軍が攻めたユーゴスラビアのパルチザンだ、率いていたチトーはその後ユーゴスラビアの大統領になったと教科書で読んだ。
「ドイツ軍に対する方がきつかったってな」
「実際に攻めて来たのはイタリア軍だってのに」
「ドイツ軍はサポートなのにか」
「きつくあたったのはドイツ軍」
「そっちだったんだな」
「ああ、ドイツ軍は捕まえても反抗的だったらしいな」
 そのパルチザン達に対してだ。
「それでイタリア軍はそうだったからな」
「で、ドイツ軍に対してよりもか」
「優しかったんだな」
「あんまり泣いて命乞いするんでな」 
 先に話した通りにだ。
「可哀想になって穏やかに接してたらしいぜ」
「攻めた張本人でもか」
「イタリア軍にはそれで優しかったのか」
「それでも」
「ああ、それで結果として助かってたんだよ」
 イタリア軍の将兵達はだ。
「捕虜にはなってもな、他の連合国もな」
「あのソ連軍もか?」
「スターリンの」
「らしいな、あのスターリンでもな」
 本当に『あの』だ。僕も冗談抜きにあの頃のソ連軍にはいたくない。何時粛清されるかわかったものじゃないからだ。
「ドイツ軍にはきつくて日本軍にはドイツ軍より幾分まして」
「抑留者の死んだ割合違うからな」
「ドイツ軍は三百万のうち百万死んだらしいな」
「で、日本軍は六十万で十万」
 その捕虜と抑留で死んだ割合だ。
「それだけドイツ軍にはきつかったか」
「三分の一が死んだんだな」
「イギリス軍やアメリカ軍もな」
 彼等もというのだ。
「イタリア軍には穏やかだったらしいな」
「ドイツ軍や日本軍よりもか」
「結構日本軍も捕虜になったら滅茶苦茶やられてたらしいけれどな」
「イタリア軍は違ってか」
「かえって助かってたんだな」
「ああ、相手がケンシロウみたいなのでもない限りな」
 北斗の拳のあの主人公だ、悪人には徹底的に無慈悲だ。
「普通泣いて謝ってきたら助けるだろ」
「しかも弱くて大して悪いことしてないとな」
「もうな」
「まあいいかって気持ちになって」
「命は助けてやるか」
「というかケンシロウでもじゃない?」 
 僕はあえてここでこう言った。
「それ位の相手だと殺さないんじゃ」
「悪人には一切容赦しないけれどな」
「ギャグみたいな殺し方するけれどな」
「確かに大して悪いことしてないとな」
「あまり殺さないしな」
「うん、まあ時々大したことしてなくても殺してた気がするけれど」
 正直漫画の中でどれだけ殺していたかわからない、その殺し方も一つ一つが実にえげつないものばかりだった。
「イタリア軍ならね」
「殺さないか、ケンシロウも」
「前田慶次も」
 原哲夫先生のもう一つの代表作だ、こちらは実在人物だ。
「悪党には容赦しなくてな」
「無茶苦茶殺してるけれど」
「イタリア軍ならか」
「殺さないか」
「ドイツ軍だったら殺してるだろうけれど」
 反抗的な相手にも容赦していなかった、作中では。 
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