八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十六話 午後の紅茶その三
「ちょっと」
「否定しきれないな」
「はい、どうしても」
僕は考える顔で答えた。
「思えないです」
「そうだ、私もだ」
「僕も否定していませんし」
「私はその話は絶対に真実だと見ている」
「若しあそこでモンセラさんが見付かっていたら」
「危うかった」
吸血鬼の餌食になっていたというのだ。
「間違いなくな」
「やっぱりそうですか」
「対処方法はあると思うがな」
その吸血鬼達へのだ。
「しかし見つかっていたならだ」
「その時は、ですよね」
「大変だったな、、本当に」
「やっぱりそうですよね」
「とにかくだ」
それこそとも言う井上さんだった。
「吸血鬼はいる」
「実在しますね」
「間違いなくな」
「ううん、何かメキシコに行くのが怖いですね」
「いや、対処する方法はあるからだ」
「怖がることはないですね」
「恐れてはならない」
例え相手が吸血鬼でもというのだ。
「そうしたことはだ」
「あってはならないですか」
「そうだ、恐れて怯えてだ」
その吸血鬼をだ。
「死んだ人もいるからな」
「吸血鬼に吸われて」
「違う、大蒜を喉に詰まらせてだ」
「大蒜を」
「そうなのだ、その人はルーマニアからイギリスに移住した人だったが」
何かドラキュラ伯爵そのままだと思った、ドラキュラ伯爵の舞台はルーマニアからイギリスに戻ってヘルシング教授とドラキュラ伯爵の対決が続くからだ。
「ずっと吸血鬼の存在を恐れていたのだ」
「それで大蒜を」
「常に寝る時に口の中に入れていたのだ、それも欠片ではなくだ」
「ああ、お店で買う」
「あの玉葱の塊をそのままですか」
「それで寝てたんですか」
そこまでは流石に有り得ないと思った、話を聞いていて。
「嘘みたいな話ですね」
「しかし事実だった、勿論壁に十字架等も飾っていたそうだが」
「その大蒜が喉に詰まって」
「死んだのだ」
「そういうことがあるからですか」
「確かに極端な例だがだ」
「あまり恐ると、ですね」
その大蒜を喉に詰まらせて死んだ人の様にだ」
「かえってよくないってことですね」
「吸血鬼以外に限らないがな」
「そういうこどなんですか」
「うむ、何でも恐れ過ぎるとよくない」
「恐るなかれですね」
「知るべきだがな、そう思うとモンセラは焦らず落ち着いていた様だな」
その吸血鬼達を見てもだ、そういえばモンセラさんは本人の話を聞く限りそうした様子は全く存在していなかった。
「それが助かったかも知れない」
「そうなんですね」
「まあ本人が来たら聞こう」
ここでまた言った井上さんだった。
「その時どうだったかな」
「ですね、落ち着いた感じみたいでしたけれど」
「それを聞こう」
「もうすぐ来ますね、モンセラさん」
僕はその当人が来るのを聞いたうえで述べた。
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