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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十五話 吸血鬼の話その八

「しかしだ」
「そうした話はなのね」
「八条学園にはない」
「それはいいことね」
「全くだ、とにかくうちの学園は妖怪の話が多くてだ」
 井上さんはモンセラさんにさらに話した。
「その中には世界から集まってきている妖怪達のものもあり」
「ドラキュラ伯爵もなのね」
「いる」
 このことを話すのだった。
「そう聞いている」
「いるのね」
「血は吸わないがな、ついでに言うとだ」
「ついでにって?」
「夜でなくとも目撃例がある」
 そのドラキュラ伯爵の、というのだ。
「夕方に狼男達と薔薇園で茶を楽しんでいたらしいな」
「夕方、そういえばね」
「何かあったか」
「いえ、ブラム=ストーカーの小説でもね」
 モンセラさんは吸血鬼といえばまさにこれと言っていい伝説的名作を話に出した。他ならぬドラキュラ伯爵が出て来る。
「伯爵夕方に出歩いているから」
「そうだったのか」
「あれっ、ドラキュラ伯爵読んでなかったの」
「実はな」
 そうだとだ、井上さんはモンセラさんに答えた。
「それは読んでいない」
「そうだったのね」
「カーミラは読んだ。そういえばカーミラでもだ」
「日中歩いてたわね」
「あの伯爵も実はだ」
 そのドラキュラ伯爵はだ。
「日光は平気ではないが死にはしないな」
「浴びてもね」
「ハリウッドのそれはかなり脚色が入っている」
「映画らしく」
「狼男にしてもそうだな、実は銀の十字架を溶かした弾丸でなくとも倒せる」
 勿論学園の中にいるという狼男も人は襲わない。
「別にな」
「そうよね」
「映画は面白くする為に色々と脚色する」
「吸血鬼もね」
「そもそも吸血鬼は様々だ」
 井上さんはまたこのことを話した。
「日光に弱い者とそうでない者もいるしな」
「ドラキュラ伯爵もなのね」
「本来は日光にそこまで弱い訳じゃないのね」
「そういうことだな」
「狼男もね」
「実は狼男は吸血鬼の眷属だ」
 僕もその話は聞いていた、今は二人の会話を黙って聞いているけれど聞きながら心の中でこうして言っていた。
「だから銀にも弱いとされているが」
「実は、よね」
「銀の十字架も必要ない」
「そこまではよね」
「いらない、それ以外の攻撃でも倒せる」
 狼男にしてもというのだ。
「他のやり方でもな」
「そうよね」
「まあフランケンとミイラ男は別だが」
 他のハリウッドの常連モンスター、あちらの妖怪達はというのだ。
「吸血鬼や狼男もそうだ」
「成程ね、けれどあの学園に吸血鬼がいるのなら」
 それならとだ、モンセラさんはふとこんなことも言った。
「行きたいわね」
「吸血鬼が出るという薔薇園にだな」
「行ってみたいわね、部活まで時間があるし」
「それなら行くといい、私も丁度道場への通り道だ」
 その薔薇園はというのだ、このことはその通りだ。
「一緒に行こう」
「じゃあね。義和はどうするの?」
 ここでだ、モンセラさんは僕にも問うて来た。
「それで」
「薔薇園に?」
「学校に来たら行く?」
「まあ僕も部活まで少し時間があるし」
「ならいいわね」
「行こうかな」
 僕は少し考えてから答えた、部活に間に合うかどうか考えてから。 
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