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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十五話 吸血鬼の話その七

「そうした妖怪もいるのだ」
「そうなのね」
「山地乳、やまちちと呼ぶ」
「やまちち?」
「そうだ、山にいる妖怪で人が寝ていると部屋に入り込んでだ」
 その人が寝ている部屋にだ。
「そこに入り息を吸い息を吸われた者はその日のうちに死ぬという」
「怖い妖怪ね」
「そうした妖怪もいるのだ、日本には」
「吸うものは血とは限らないのね」
「日本の場合はな」
「成程ね」
 モンセラさんはこのことも納得して頷いた。
「日本の妖怪は本当に色々いるのね」
「いい妖怪もいれば悪い妖怪もな」
「正直悪い妖怪には出会いたくないわ」
 モンセラさんのかなり率直な返事だった。
「そうした妖怪はね。けれどね」
「そうでない妖怪はね」
 つまりいい妖怪はだ。
「会いたいわね」
「それならうちの学園は丁度いい場所だ」
「どうしてなの?」
「この学園は妖怪の話が多いのだ」
「あっ、学校の怪談が」
 モンセラさんもここで気付いた。
「そうなのね」
「そうだ、それもよく七不思議というがだ」
「七不思議よりも多いのね」
「何十とある、保育園から大学院まで合わせてな」
「動物園や水族館にも」
「あってだ。相当に多い」
「そんなに多いの」
モンセラさんは問うた。
「あの学園って」
「実は日本最大の妖怪スポットとも言われている」
 実はそうなのだ、世界屈指とも言われている。妖怪や幽霊の話が百はあるだろうか。
「その中に様々な妖怪もいてだ」
「吸血鬼も?」
「鬼はいるというが」
「吸血鬼はいないの」
「いや、件の人物がいる」
 こう言って井上さんが出す人はというと。
「ドラキュラ伯爵がな」
「日本なのに?」
「世界中の妖怪がいてだ」
「それでなの」
「そうだ、日本の妖怪の他にもいるのだ」 
 僕もその話は聞いている、八条学園には日本の妖怪や幽霊以外にもハリウッドに出て来る様な妖怪もいるのだ。
「フランケンや狼男もだ」
「いるの」
「ミイラ男もな」
「何か一杯いるのね」
「ドラキュラ伯爵を見たという人がいてだ」
「血を吸われたの?」
「いや、襲われたという話はない」
 このこともだ、僕は聞いていて知っていた。誰から聞いたかは知らないが。
「ただお茶を飲んで楽しんでいるのだ」
「そうなのね」
「この学園は確かに妖怪の話が多いがだ」
 そして幽霊もだ。
「しかし襲われたという話はない」
「いい妖怪さんしかいないのね」
「どうやらな」
「それは有り難いことね」
「うむ、学園の怪談は物騒なものもあるからな」
 それこそ誰かが死んだとか殺されたかとだ。こうした物騒は話は怪談には付きものだけれど学園の場合もそうなのだ。 
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