八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十三話 抹茶のよさその六
「汚れるから」
「それでだよね」
「汚れが目立ったらいけないの」
「だから基本黒なんだね」
「黒はいい色よ」
汚れが目立たないという観点からの言葉だ。
「目立たないから」
「だからだよね」
「ええ、メイド服でも多いのよ」
「これが逆に白だと」
「着ていられないわよ」
とても、という口調での返事だった。口さえ尖らせている。
「すぐに汚れて」
「夏はいいけれどね」
「光反射して涼しいから」
「うん、夏服が白多いのはね」
「光を反射して涼しいから」
「そうだけれど」
それでもとだ、僕もここでこうした例えを出した。
「うちの学校色々な制服あって白もあるけれど」
「詰襟でもブレザーでも」
「どっちでもね」
それこそだ。
「汚れが目立ってね」
「仕方ないわよね」
「だからあまり着てる人いないんだ」
「白はね」
「どうしてもだよね」
「そうなるから」
それでとだ、僕に言った。
「制服だとね」
「いつも着るしね、制服は」
それこそとだ、僕も言いながら思った。体育の時以外はいつも着ている。そうした学生にとっては日常の服だからだ。
「色々動くし、着たまま」
「そのまま食べたりして」
「だからね、白だとね」
制服の色がだ。
「目立つからね、汚れが」
「だから白い制服は、なのね」
「うちでもね」
八条学園にもだ、あるにはあってもだ。
「あるけれど着ている人は少ないよ」
「確かにね。かなり少数派ね」
「詰襟もブレザーも」
どちらもあるけれどだ。
「黒とか紺、青に赤って色々な色があるけれど」
「緑もあるわね」
「うん、陸自さんの軍服みたいな色もね」
あの濃い緑のだ、ブレザーだと余計に陸自さんの制服に見える。
「あるよ」
「あれはいいわね」
「うん、黒が一番多いね」
「制服の色はね」
「とにかく白はね」
この色についてはだ。
「汚れが目立つから」
「どうしても少ないわね」
「海自さんは夏白だけれど」
日光を跳ね返してそっちの方が涼しいからだ、そう海自さんの人に直接聞いた。
「色々大変みたいだよ」
「汚れない様に」
「礼装になると」
詰襟だ、その。
「もう一回着たらすぐにクリーニングらしいから」
「一回で?」
「そう、一回でね」
このことも海自さんの人に直接聞いたことだ。
「クリーニングに出させられるらしいから」
「一回着てなの」
「十分か二十分でね」
「そんなので出さないといけないの」
「汚れが目立つから」
とにかくこれに尽きた。
「そうしないといけないらしいよ」
「不自由ね」
「しかも色が透けるから」
僕はこの問題もだ、マルヤムさんに話した。
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