八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十三話 抹茶のよさその三
「お茶は二杯目以降が本当に美味しいから」
「そうなんだ」
「そうよ、紅茶もね」
「そういえばテレサさんよく二杯も三杯も飲んでるね」
「美味しいからよ」
まさにそれが理由だとだ、テレサさんは僕に笑顔で話してくれた。もう小夜子さんが淹れてくれる二杯目のことを考えている。
「だからね」
「それでは」
「今から私の分もお願いね」
「勿論です」
笑顔で二人で話してだった、そしてだった。
僕とテレサさんは小夜子さんが淹れてくれる二杯目のお茶も楽しみに待った。そしてその二杯目が栗羊羹と一緒に出て来た。
それでだ、そのお茶と栗羊羹を三人でだった。
飲んで食べた、その二杯目のお茶を飲んでだった。
僕ははっとなってだ、テレサさんに言った。
「いや、何か」
「二杯目の方がよね」
「美味しいね」
「お茶はそうなのよ」
「一杯目より二杯目の方が美味しいんだね」
「そうなのよ、だから私も楽しみにしてたのよ」
「二杯目を」
今度は僕から言った。
「そうだったんだ」
「そうなの。実際に飲んで」
その二杯目をだ、見れば小夜子さんもお碗を両手に持って飲んでいる。そのうえで僕に対してこう言って来た。
「美味しいと思うわ」
「一杯目よりも」
「それに飲んでいると」
ここでだ、テレサさんは僕にこうも言って来た。
「目も冴えてくるでしょ」
「余計にね」
「このすっきりとなってくる感じがね」
「二杯目になると余計に感じられてきて」
「いいのよ」
笑顔での言葉だった。
「お昼も頑張れるわ」
「テレサさんの部活の方も」
「メイド部ね、楽しいわよ」
「メイド部って今どんな活動してるの?」
「普通にやってるわよ」
「メイドさんの活動?」
「そう、メイドの研究をしてね」
そしてというのだ。
「メイド服着て。学校の喫茶店とかでアルバイトして」
「そうしたことしてるんだ」
「完全にメイドになるのよ」
「そうした部活なんだね」
「元々フィリピンってメイドさん多い国なのよ」
テレサさんの祖国はというのだ。
「外国に出稼ぎとかもしてるわよ」
「へえ、そうなんだ」
「国内でもしてるし。日本人のお家でもしてるわよ」
「変なことされてないよね、別に」
「日本人は評判いいのよ」
メイドの出張先として、というのだ。
「親切でお給料も弾んでくれて払い方もいいから」
「そうなんだ」
「暴力も振るわないし」
「最後は普通じゃないの?」
「そうじゃない国の人もいるのよ」
テレサさんはこのことは眉を曇らせてむっとした顔になって言った。
「これがね」
「そうなんだ」
「どの国とは言わないけれど」
「そうした国の人もいるんだね」
「横柄で威張り散らしててケチでセクハラもあってね」
「それ最悪じゃない」
「だから勤め先としても評判悪いのよ」
フィリピンのメイドさん達からもというのだ。
ページ上へ戻る