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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十三話 抹茶のよさその一

                 第五十三話  抹茶のよさ
 僕はお抹茶、熱いそれを一杯貰った。すると。
 確かに熱いお茶を飲むとかえって涼しくなった、けれどそれだけじゃなかった。 
 気持ちがすっきりとしてだ、小夜子さんに尋ねた。
「何かコーヒーを飲んだ時よりも」
「目が冴えますね」
「うん、いい感じになってきたよ」
「お茶の葉にもカフェインが入っています」
「そういえばそうだったね」
 小夜子さんに言われてこのことを思い出した。
「お茶にもカフェイン入ってたね」
「そうです、ですから飲むとです」
「目がすっきりするんだね」
「覚めます」
 その目がというのだ。
「だから修行中のお坊さん達も飲んでいます」
「眠気を覚ます為に」
「ですからお寺からお茶が流行ったのです」
 修行中の眠気覚ましに欠かせないからだというのだ。修行中に眠くなっては確かに元も子もないことだ。
「眠気が覚めますので」
「飲むと」
「はい、茶道をはじめられた千利休さんもお坊さんでしたね」
「確か禅宗の」
「やはりお茶はお坊さんからはじまったのです」
「そういうことなんだね」
「はい、そして」
 小夜子さんはもう一杯だ、僕達にお茶を淹れてくれながら話を続けた。
「利休さんは織田信長さんと知り合いましたが」
「あの天下人になった」
「信長さんが無類のお茶好きで」
「そこからなんだ」
「大いに広まりました」
「秀吉さんの知己も得て」
「秀吉さんから切腹を命じられましたが」
 そこで実際に切腹をした、首を晒されてその首も辱められるというあまりいい最期ではなかったと聞いている。
「利休さんから茶道がはじまり広まり」
「こうしてだね」
「皆が飲める様になりました」
「それまでお茶は高価だったんだよね」
「とても。ですからあまり飲まれていませんでした」
 千利休の頃まではというのだ。
「しかしここから一気に広まって」
「今に至るんだね」
「そうです、我が国においては」
「安土桃山時代から広まって」
「定着しました」
「日本っていうとお茶だけれど」 
 テレサさんがここで話に復帰してきた。
「広まったのは案外新しい時代なのね」
「安土桃山時代からですから」
「それまではなのね」
「高価で誰もが飲めるものではありませんでした」
 そうだったというのだ。
「このことは中国も同じでした」
「水蓮の国でもなの」
「お茶は長い間高価なものでした」
「それもとても」
「普通に飲める人はかなりの資産家でした」
「っていうとお酒よりも高かったの」
「長い間そうでした」
 それこそ相当な、人がお茶を飲む様になって千数百年はというのだ。
「お茶の方が戦ったのです」
「今じゃ私紅茶普通に一日十杯は飲んでるけれど」
 テレサさんは無類の紅茶好きだ、だからそれだけ飲んでいるというのだ。
「けれどなのね」
「はい、かつてはそこまで高かったです」
「そうなのね」
「左様でした」
 それこそというのだ。 
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