八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十二話 暑い夏だからその十四
「熱過ぎてもです」
「かえってよくないよね」
「あまり熱は身体に溜めてもよくありません」
「熱中症になるからね」
「あまり暑過ぎず寒過ぎる」
「それがいいんだね」
「中間が一番いいです」
暑いのと寒いのというのだ。
「身体は冷やし過ぎもです」
「暑過ぎもせず」
「間が一番いいです」
「中庸ってことだね」
「そうなります」
「この前三島由紀夫の戯曲読んだけれど」
その戯曲はというと。
「我が友ヒットラーね」
「あの作品を読まれたのですか」
「小夜子さんも読んだんですか」
「はい」
その通りだとだ、小夜子さんはすぐに答えた。
「高校一年の頃に」
「あの作品の最後で言ってるよね」
「中道ですね」
「うん、政治は中道がいいってね」
ヒトラーがわざわざ仕草まで入れてだ。
「書いてるよね」
「そうですね、それはです」
「身体もなんだ」
「確かに暑い時には熱いものですが」
それでもというのだ。
「あまり身体は熱過ぎても駄目です」
「冷え過ぎても駄目で」
「中間がいいのです」
「よく昔身体を冷やすなって言ってたけれど」
テレサさんも話に入って来た。
「そのことは大事だけれどなのね」
「はい、熱過ぎても駄目なのです」
「中間が一番なのね」
「夏は冷やすことも大事です」
「だから泳ぐこともいいのね」
「そうです」
こうした話を三人でしながらお茶を飲んだ、僕のこの日のお昼休みは熱いお茶を飲んだ。けれどそれがかえって涼しい午後にさせていた。
第五十二話 完
2015・7・17
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