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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十二話 暑い夏だからその十三

「何でもなくなるから」
「それこそたっぷり時間をかけてなんだ」
「栗のところを取ってよね」
「そこだけ食べるんだ」
「とんでもない悪事ね」
「そうしたことをする人もいるんだ」
 僕も心から思う、こうした行為は人として許されないことだと。殺人や強盗とはまた違った意味においてだ。
「世の中にはね」
「苺のケーキでもね」
「苺だけを取って食べる人いるよね」
「それだと只のケーキよ」
 栗のない栗羊羹と同じだというのだ。
「それは何でもないものなのよ」
「同感だよ、栗羊羹は栗だけを味わうんじゃなくて」
「栗と羊羹を一緒に楽しむ」
「そうしたものだからね」
「それで栗だけを抜いて食べるのはね」
「悪事よ」 
 それに他ならないとだ、僕に強く言った。
「やったらいけないことよ」
「だから寝ている間にお口の中になんだ」
「青唐辛子よ」
「それはまた厳しいね」
「青唐辛子の怖さは知ってるでしょ」
「東南アジアの料理で使うからね」
 特にタイ料理でだ、タイ料理のあの強烈な辛さとその後ですっきりする感じは絶品だ。しかもお菓子や果物は徹底的に甘いのもいい。
「知ってるよ」
「ラブポーン達も好きだしね」
「そのタイの人だからね」
「その青唐辛子の刑」
「極刑だね」
「そうしてもいい位のことよ」
 テレサさんは笑いながらも強い言葉を言った、そして。
 その話をしているうちに僕は感じた、さっきまで運動をしてお昼も食べたせいで身体が熱くなっていて
余計に暑かったけれど。
 それがだ、今はだ。
「何かさっきより涼しいよ」
「そうですね」
「熱いものを飲んだからだね」
「はい、ですから」
「やっぱり熱いものの方がいいんだ」
「涼しくなるには」
「こっちを飲んだ方がいいんだね」
 僕は小夜子さんに言った。
「熱い方が」
「そうです」
 小夜子さんもこう僕に話してくれた。
「そちらの方が涼しくなります」
「冷たいものよりも」
「それに暑い時に急に冷たいものを飲むと」
「それはかえってだよね」
「身体によくないです、ただ」
「ただ?」
「身体を急に冷やすこともよくないですが」 
 ここで小夜子さんは僕にこうしたことも話してくれた。 
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