八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十二話 暑い夏だからその十
「かえって何されるかわからなくて危ないわよ」
「暴力振るうから」
「その先生実際暴力振るってたでしょ」
「生徒にね。振るってたよ」
「やっぱりね」
「というか中学生に突き、しかもリンチに使う様な試合じゃ絶対に警告される様な技を笑って浴びせていたからね」
「それもう剣道じゃないじゃない」
では何か、テレサさんははっきりと言い切った。
「ゴロツキが棒切れで子供いじめてるだけじゃない」
「まあそうだよね」
「というかそんな奴の傍にいたらえらいことになるから」
「その場から立ち去るんだ」
「そいつは最初から学校の先生になるべきじゃなかったわ」
首、聞くところによると懲戒免職になる前にだ。
「最初からね」
「そうなっていればやられる生徒の人がいなかったから」
「そうよ、そもそもね」
「先生になること自体が間違いで」
「ヤクザにでもなって刑務所に入るべきだったのよ」
「確かに品性はヤクザだね」
聞く限りそうとしか思えない。
「そこまでいったら」
「というか教わる生徒が可哀想よ」
「こんな先生いるのも日本だけかな」
「多分ね、うちの学校は違うけれど」
「うん、確かに問題のある先生はいるけれど」
社会科の中川先生みたいにだ、けれどこのもうどうにもならないとしか思えないこの先生でも暴力を振りったり自分はしないで生徒には強制させるということはしない。
「そうした先生すぐに首になるから」
「ならない方がおかしいわよ」
「その点うちの学校は大丈夫だから」
「というか日本の学校の先生ってとんでもない人がいるのね」
「否定出来ないね」
どうしてもだ、このことは。
「本当にこうした人がいるからね」
「ヤクザが先生やれる国なのね」
「先生だから社会的に尊敬もされるしね」
「余計にとんでもないわね」
「そういう先生にはね」
僕も心から思った。
「近寄らないに限るね」
「そうよね、本当に」
「まあ日本はおかしな先生も多いから」
「そのことには注意して」
「そう、それで楽しくやっていこうね」
「わかったわ、まあうちの学校はその点他よりもずっとましみたいだから」
確かに困った先生はいるけれどだ。
「そのことには神様に感謝するわ」
「神様になんだ」
「ええ、主とね」
「そういえばテレサさんクリスチャンだったね」
「カトリックよ」
キリスト教のそちらだというのだ。
「フィリピンじゃ多いのよ」
「フィリピンは殆どの人がカトリックだよね」
「そうよ、それで私もね」
「カトリックなんだね」
「そう、カトリックでね」
それでとだ。テレサさんは僕にこうも話した。
「神様にお祈りするわ」
「そうなんだね」
「そう、そして今からのことも」
「お茶の?」
「小夜子のお茶を飲めることもね」
微笑んでの言葉だった。やっぱりテレサさんはお茶が好きだ。紅茶派だけれどお抹茶も好きみたいだった。
「神様に感謝するわ」
「そのこともなんだ」
「ええ、美味しいから」
「あの」
ここでだ、小夜子さんがお茶を淹れながら話に入って来た。
「そう言われましても」
「どうしたの?」
「まだ淹れていませんが」
こうテレサさんに言うのだった。
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