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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十二話 暑い夏だからその六

「何だよそれ」
「何だよって」
「それいいにも程があるだろ」
「そうかな」
「そうだよ、御前の親父さんだったらどうする?」
 かなり真顔でだ、日傘君は僕に問うてきた。その目はかなり真剣なもので有無を言わさない光さえそこにはあった。
「女の子二人と一緒だったら」
「それはやっぱりね」
「そうだろ、その人の息子だろ」
「息子でも親父は親父だよ」 
 僕は顔を曇らせて日傘君に答えた。
「それで僕は僕だよ」
「だからっていうんだな」
「そんなことないから」
 絶対にとだ、日傘君にも他の皆にも保証した。
「絶対にね」
「だといいけれどな」
「じゃあ皆も来る?」
「いや、俺はいいよ」
 まずは日傘君が断ってだった、他の皆もだった。
「別に」
「いいんだ」
「確かに御前は御前だよ」
「そうだよ、親父とは違うから」
「御前はそうしたことしないな」
「というか親父は特別だから」
 あらゆる意味でだ。
「だからね」
「それでだな」
「そうだよ、しないから」
 このことは誓って言えた、誰にでも。
「お茶を飲んで羊羹食べるだけだよ」
「羊羹か」
「そう、熱いお茶を飲んで」
 茶道のそのお茶をだ。
「羊羹だよ、今から楽しみだよ」
「羊羹か」
「あれな」
「まあいいよな」
「美味いよな」
「栗羊羹ね」
 僕はどんな羊羹かも話した。
「あれも食べるから」
「というか大家って羊羹好きか」
「その口調からするとそうだな」
「好きなんだな」
「大好きだよ」
 その大好きな羊羹の中でも特にだ。
「だから楽しみだよ」
「女の子達よりもか?」
「羊羹の方がいってのかよ」
「色気より食い気か」
「そっちだっていうんだな」
「いや、色気とかね」
 その誤解をだ、僕は訂正にかかった。どうにも嫌な誤解に感じたからだ。
「そういうのじゃないから」
「けれど女の子二人と一緒だろ」
「羊羹はあっても」
「それじゃあハーレムだろ」
「どう考えても」
「違うって、そこは」
 僕は皆にさらに話した。
「別にそういうのじゃなくて」
「ただお茶飲んで羊羹食う」
「それだけか」
「そう言うんだな」
「そうだよ、本当にそれだけで」
 それにとだ、僕は皆にさらに言った。 
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