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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十二話 暑い夏だからその三

 ここでだ、小夜子さんは僕にも顔を向けて誘いをかけてきた。
「宜しければ義和さんも」
「僕も?」
「はい、どうでしょうか」
 こう僕に言って来た。
「茶道部に」
「今日のお昼休みに」
「どうでしょうか」
「そうだね、お昼はお弁当があるけれど」
 それでもとだ、僕は少し考えてからとはいっても実際の考える時間は二秒かそれ位だと思うけれど考えてから答えた。
「それでもね」
「お茶もですね」
「うん、熱いお茶もいいかな」
 こう小夜子さんに答えた。
「それじゃあね」
「はい、ではお待ちしています」
「暑い時には熱いものだね」
「それもまたいいです」
「身体は冷やしたらいけないっていうしね」
「そうです、夏は特にです」
 この季節はというのだ。
「普段は暑いですがクーラーで身体を冷やしてしまいますね」
「そのこともあってなんだ」
「クーラーや扇風機は確かに快適ですが」
 それでもというのだ。
「過ぎれば身体を冷やし過ぎてしまいます」
「過ぎるからなんだ」
「そうです、ですから」
 それでというのだ。
「余計にです」
「熱いお茶を飲むこともいいんだ」
「身体は熱くなり過ぎても駄目ですが」
「冷やし過ぎてもだね」
「冬も冷えてしまいますが夏も冷えてしまいます」
 そのクーラーや扇風機でというのだ。
「ですから」
「今日のお昼は」
「熱いお抹茶をどうぞ」
「それとお菓子も」
「お菓子も用意しています」
「どんなお菓子かな」
「羊羹です」
 それだった、お菓子は。
「そちらです」
「あっ、羊羹なんだ」
「実家から送ってくれた栗羊羹です」
「栗羊羹か、いいね」
 自分でも顔が明るくなったのがわかった、僕は甘いものが好きで羊羹もそのうちの一つだ。その羊羹の中で栗羊羹が一番好きだ。
 それでだ、こう小夜子さんに答えた。
「是非ね」
「お待ちしています」
「羊羹ね」
 テレサさんは羊羹と聞いてだ、微妙な顔になってこんなことを言った。
「漢字で書くと羊羹よね」
「それが一体」
「いえ、羊の名前が入ってるけれど」
 それでもとだ、僕にも言って来た。
「羊のお肉使わないわよね」
「ああ、そういえばそうだね」 
 僕も言われて気付いた、そのことに。
「羊っていっても」
「これおかしくない?」
「おかしいっていうか」
 ここでだ、僕はこうテレサさんに答えた。
「名前の由来が」
「義和も知らない?」
「ちょっとね」
「そうなのね」
「どうしてかな」
 言われてみて不思議に思った、それでジューンさんが水蓮さんに尋ねた。 
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