魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編
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第1話 エース・オブ・エースVSバリアアーマー
「ねえ、はやてはどっちが勝つと思う?」
エキシビジョンマッチが始まる直前、はやて達魔法少女達も会場に当然いた。
その中にギンガもおり、4人で並んで観戦していた。
「そやなぁ………バリアアーマーの性能がまだハッキリと分からへんから何とも言えへんけど、無駄にリスクがあるあのバカの方が不利やな」
「そうですね………」
「私もそう思うの………」
「甘いわねみんな」
「「加奈ちゃん!!」」
「加奈!!」
「久しぶりみんな!」
「こうやって会うのは久しぶりやぁ………」
「私はちょこちょこ会ってたけどね」
「なのは、そうなの?」
「うん、仕事柄見かける事があったからね」
ギンガを置いてけぼりにして久しぶりの再会にはしゃぐ4人。
「あの………」
「ああ、貴方がギンガちゃんね、桐谷から聞いているわ。私は佐藤加奈、まだ訓練校に通ってるからギンガちゃんは一応上司ね」
「あっ、いえ!それは気にしなくていいですけど………桐谷さんを知ってるのですか?」
「そりゃあ一緒に住んでたし………」
「一緒!?えっ、一体どうして!?」
余りにも信じられず、かなり同様するギンガ。
「ギンガ少し落ち着くんや………だけど何で加奈ちゃんはあのバカが勝てると思うん?魔力ランクだってAランクまで下がってるんよ?」
「まあ特に理由は無いんだけど、数日前に言ってたのよアイツ。『考えがあるから楽しみにしてて』って」
「考え?」
「何をするんだろ………?」
「まあ何をするにしても驚く事は間違い無いと思うわよ………」
加奈は会場の中心で戦うであろう大悟を見てそう言ったのだった………
「ぐぅ!?」
真っ直ぐ互いの剣と剣が激突しあう両者。激しい攻撃を互いにぶつけ、先に耐え切れず体勢を崩したのはソールだ。
「まだまだ!!」
崩されは直ぐに体勢を整え、距離を取り神崎を迎えうつ構えをとるソール。
「AMF展開!」
そう言ってステージ内にAMFが展開された。
「これでAランクに下がってるお前は簡単に魔法は使えまい!!」
「………別に構わない、元より使う気は無い!!」
「何を………うっ!?」
大剣を真上から振り下ろした大悟。右腕のブレードで受け止めたソールだが、その衝撃に思わず片膝を地面に付いてしまった。
「何だ!?何でAMFを使ってるのにこんな重い攻撃を………」
「このまま押しきる!!」
大悟は攻撃の手を緩めず、大剣で何度も斬りつける。
(くそっ、何なんだこの剣の重さは!?)
大悟の攻撃を受けるのに精一杯なソールは頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
(マジックコーティングにAMFを使えばいくらSSSランクの魔導師でも苦戦するだろうと思ったのに、何故こんなにスムーズに攻撃できる!?ましては奴は今、たったのAランクだぞ!?)
「………考え事かい?」
「えっ………なっ!?」
フェイントを混ぜ、そのまま大剣を腹部目掛けて突きをくり出した。
「ぐおおーーー!!」
吹き飛ばされたが、背中にあるバーニアの噴射により仰向けに倒れることは無かったソール。
しかし………
「なっ、アーマーが!?」
突きを喰らった腹部のアーマーにひびが入り、ポロポロと装甲が崩れ落ちていた。
「………まあAランクの魔力ならこれが限界か」
「お、お前………!!」
「加奈、もしかして………」
「ええ。あのバカ、魔力を全て身体強化、それも足と腕中心に強化してデバイスで攻撃してるわね」
フェイトの問いに加奈が険しい顔で答えた。
「えっ?でも剣で圧倒している様にしか見えないんですけど………」
「甘いでギンガ。あのバカの動きを見ておかしいと思わないんか?」
「えっと………」
「明らかに過剰な力、そしてあまり動いてないから分かりづらいけど、一歩一歩の動きがかなり速かったよ」
「なのはちゃん、流石や。ギンガはもっと精進した方がええね」
「はい………」
ギンガの返事を聞いたはやては再び大悟達の戦いに目を向けた。
(せやけどあのバカがこんな戦いするとはな………てっきりいつもみたいにバカ高い魔力で圧勝すると思ったんやけど。でもこの戦い方は………まるで………)
「くそっ、何で当たらないんだ!!」
左腕のマシンキャノンから魔力弾を撒き散らすソール。
それを大悟は冷静に最低限の動きで全て避ける。
(今の魔導師にバリアアーマーの戦い方を教えてるみたいや………)
はやてはそんなことを思いながら2人の戦いを見ていた………
「くそっ、くそっ!!」
がむしゃら気味に振るう相手のブレードを冷静に避ける大悟。
(ここまでは順調。AMFにマジックコーティング。魔導師に強くても何の魔力が無い鉄の塊ならダメージを与えられる。………だけどこの手は頑丈なアームドデバイスを使わないと、遠距離からの攻撃が出来ないのが難点だな………)
そんなことを考えていた大悟。
がむしゃらに振っていたブレードを捌き、思いっきり腹部を斬り払った。
「ぐああああああああ!!!」
今度の一撃は完全に装甲を破壊し、ソール自身にも大きなダメージを与えた。
「ゴホッゴホッ!!」
思わず血を吐き出すソール。
「………これでエキシビジョンマッチは終わりかな」
「ちくしょう………ちくしょう!!」
両腰の銃筒を大悟に向け、魔力を充足させる。
「喰らえ、ツインインパルスカノン!!」
その魔力を大悟に向けて発射した。
「ちっ!?」
普通の砲撃魔法も弾速が速い砲撃魔法。それがこの攻撃の利点だった。
「ジルディス!!頼む!!」
ジルディスを前に構え、大剣を盾として攻撃を受け止めた。
「!!!」
そんな大悟に向かって連射するソール。
ブリッツカノンは次々に直撃していく。
「はぁはぁはぁ………」
計16発程撃ってソールは射撃を終えた。
爆発により煙が上がり大悟の様子が見えないが、ソールは余裕があった。
「Aランクに下げた魔力でこの攻撃には耐えきれない筈………」
「………直撃してればな」
「何!?」
後ろから声がして、振り向けばそこには拳を握り締めて構える大悟が。
「何故!?」
「どんな状況にでも冷静にだ!………誰かさんの言葉だけど」
「くそっーーーー!!!」
そう叫びながら、ソールは大悟の拳を顔に喰らい気絶し、エキシビジョンマッチは大悟の勝利で幕を閉じた………
「まあ流石と言ったところかな………」
会場の特別室。
そこから2人の戦いを見ていた人物がいた。
管理局元帥、ヴェリエ・マーセナルと首都防衛隊少将、ギリ・クロッグだ。
「し、しかし元帥、バリアアーマーがこうもあっさり撃退されますと………」
「彼は管理局最強、エース・オブ・エースの神崎大悟だよこれくらいは当然さ」
「ですがAランクに下げた状態では………」
「まあ確かに不甲斐なかったが、仕方がないと言えば仕方がない。魔法の防御は完璧でも質量兵器での攻撃は想定外だったからね。それでもある程度は耐えれる強度にはなっていたはずなのに、それを破壊する神崎一等空尉が異常なのだろう」
「な、なるほど………」
「まあともかく今回の課題点を改善してからの普及だね。」
「そ、そうですな………で、では私は今回の結果をレジアス中将に見せに行きますで………」
そう言ってギリは部屋を出ていった。
「しかしまさかここまでやると思っていなかった。もしSSSランクであの様に戦っていればバリアアーマーどころか全てを破壊出来る程の攻撃が出来るだろう………」
「………しかしそれは出来ないでしょう」
そう言ってヴェリエの前に現れたのはクレイン・アルゲイル。
今回のバリアアーマーの開発者だ。
「何故だい?」
「SSSの魔力で身体強化しても身体がもたないですから」
「………なるほど、人の身体は貧弱だからね」
「それとこれ以上の装甲の強化も無理があります。今度は機体が重くなり機動力が無くなりますよ」
そんなクレインの言葉にため息を吐くヴェリエ。
「まあそれなら仕方がないか。………なら装甲の強化は白紙として、追加武装の方を頼むよ」
「………了解しました」
そう返事をし、クレインは静かに部屋を出ていった。
「………やはり完璧な物にはならないか。やはりアンドロイドこそが最高の………」
残ったヴェリエは外の様子を見ながらそう呟いたのだった………
「全く、無茶な戦い方して………」
「あはは………」
苦笑いしながら加奈の手当てを受ける大悟。
あの後、少し落ち着いてから加奈達と合流した神崎。
既になのは達も神崎の変わりように納得し、普通に話すようになったのだが、相変わらずバカ扱いされる事が多い。
「まあ確かに予想外だったよ。でも何であの戦い方にしたの?」
そんな大悟になのはが質問した。
「………まあ自分の修行の成果を試しかったからかな」
「どや顔は良いから真面目に言って」
冷たくフェイトに言われ、苦笑いしながら頭をかいた。
「いや、本当だよ。魔力だけに頼らず、自力の力もつけないとって訓練してたから」
「………ほんまそれだけなんか?」
鋭い眼差しではやてに言われ、苦笑いしながら言っていた大悟が途端に真面目な顔になった。
「それだけって?」
「まるで戦い方を教えているようやった。バリアアーマーに対する対処法を………」
「そう言えば………」
「神崎くんは攻撃魔法を………」
「一度も使ってない………」
なのは、フェイト、ギンガが恐る恐る呟いた。
「そうや。Aランクと言っても攻撃魔法は使える。それなのに一度も使わずに純粋に力づくで勝負したやないか」
「まあね………」
「それは低ランク魔導師がAMFを展開された際の対処法なんやないの?」
「まあ対処法の一つだよ」
「でも何でなん?何でバリアアーマーの対処法なんて必要無いやないか」
そう言うはやての顔はとても真面目でいつものおちゃらけた雰囲気は全く無かった。
「八神、何を勘違いしてるのか分からないけど俺は別に何も変な事は考えてないぞ。今回の戦い方だって元々訓練していたことをやっていただけだし、今回の戦いでバリアアーマーの弱点が露点出来たんだ、更に良いものが出来るかもしれないだろ?」
「………確かにそうやな」
「何か心配事か?」
「まあ色々とあるんよ」
苦笑いしながらそう言うはやて。
その苦笑いに少し疲れが見えた大悟だったが特に何も言わなかった。
「けれどどうなるかな?バリアアーマーの実用化」
「そう言えば結果が良ければ即導入もあり得るって話だったよね?」
フェイトの問いになのはが答えた。
「………恐らくは延期やな。あんな簡単に対応されちゃ直ぐに使えなくなるやろうし」
そんなはやての答えを聞いて納得する一同。
「まあそれでも実用化は確実だな。質量兵器よりも魔力ランクの高い犯罪者が増えてきている今、AMFとマジックコーティングがあるのは大きい」
「それに例え質量兵器を持っていてもアーマーもあるし、バリアジャケットより頑丈なのは確かよね」
「でもね………」
「うん………」
そんな大悟と加奈の言葉に俯きがちになのはとフェイトがこぼした。
「はは~、何となく分かったわ。要するにあのバリアアーマーを着たくないんやろ?」
「うん………」
「私も………」
「実は私もです………」
「ギンガもね、やっぱり女性人には気に入らないデザインよね」
「加奈は?」
「さっきの私の話、聞いてた………?」
「すみませんでした!!」
拳を作った加奈に瞬時に土下座する大悟。
「エース・オブ・エースも形無しやなぁ………」
そんなはやての言葉にその場にいた皆が同意したのだった………
「「………」」
「見た感じはどうだい?」
「余りにも完成度が低すぎる。クレイン作とは思えない」
「俺も零治と同じだ」
ミッドチルダでエキシビジョンマッチがあったその日の夜、有栖家、加藤家はスカさん家へ赴いていた。
そして零治と桐谷だけ、スカさんの研究室に行き、今日あったエキシビジョンマッチの話をしていた。
「大悟の強さも確かに予想外だったけど、あのブラックサレナにうりふたつのロボット達を作っていて、こんな低性能のアーマーな訳が無い」
「私もそう思ってるよ。恐らく、本気で技術協力はする気は無いのだろう」
「それか何かを企んでいる………か」
「私も出来るだけ調べてみるよ。また何かあったら直ぐに教える」
「だな、恐らく実用化は延期されるだろうし、大変だと思うけどよろしく頼む、スカさん」
「心得ているよ。………それともう一つ、実は2人に話す事があるんだ」
「「話す事………?」」
「残りのナンバーズの再調整が終わった、会って欲しいんだ」
「あっ、話は終わりましたか?」
「星、みんなは?」
「お風呂に入ってます。私はトーレさんの夕食の手伝いです」
「ごめんなさいね、手伝わせちゃって」
「いいんですよ」
そんな会話をしながらも手際よく夕食を作る2人。
うん、何かそれぞれの家の妻が協力して一緒に作ってるみたいだ。
「………俺も手伝うか?」
「良いですよ、桐谷さんと一緒にくつろいでて下さい」
「そうです、台所は主婦の戦場ですよレイ」
まだ主婦では無いけどな………
「羨ましいな、出来た妻がいて」
「茶化すな桐谷」
「たまには将棋なんてどうだ?」
「………何でもあるなこの家は」
「ウェンディやセインがしょっちゅう色んな物持ち込むからな」
「おい、零治まだか?」
「まて、もう少し………」
くそっ、打つ手が思いつかない………どうやってもこのままじゃ負ける………
「………銀を右に置いて」
「銀を?えっと………」
いきなり後ろから手が伸びたので思わず取った銀を置いたのだが………
「あっ………」
「なっ!?」
まさかの大逆転の一手に。
大分先の手を考えてたのに、まさかそんな手があったのか………
「………って君誰?」
俺に将棋の指摘をしてくれたのは少し小柄なボーイッシュでパジャマを着た茶髪女の子。
女の子と言ったが、果たして合っているかどうか自信が無い。
「ナンバー8、オットー」
オットー………?
確か光をボンボン飛ばす女の子?だよな………?
「僕の言うとおり………でしょう?」
「あ、ああ。ありがとう、俺は有栖零治、零治で良いよ」
「うん、よろしくレイ兄」
「知ってた?」
「俺は………「桐谷兄」知ってる?」
「どっちもウェンディが教えてくれた。桐谷兄はイケメンだからすぐ分かるよって」
「………俺に関しては?」
「面白い人だって。だから名前言ってもらわないと分からなかったから………」
確かに俺はイケメンじゃないよ?だけどもっと違う紹介の仕方あるだろうがウェンディのアホ………
「まあいい。俺は加藤桐谷だ、よろしくなオットー」
「うん、よろしく」
「オットー!!」
そんな自己紹介をしていた俺達の方に、カチューシャを着けた茶髪のロングヘアーの女の子がやって来た。
「あっ、ディード」
「探したわオットー、こんなところに………あ」
「えっと、始めましてだな。俺は有栖零治、こっちは加藤桐谷だ」
「よろしく」
「私はディードと言います。あの………えっと………よろしくお願いします!!」
終止おどおどしながら深々と挨拶をしたディード。
どうやら恥ずかしがり屋の様である。
それにしても………
「「中々の物をお持ちで………」」
思わず言葉が被ったが仕方がないだろう。
それほど立派かつ綺麗な形の山があった。
大きさ的にはライやすずかには勝てないだろうが、星といい勝負だろう。
「………何をじっと見ているのですか?」
「いや、星といい勝負だなって思っ………」
その後の言葉が出てこなかった。
「勝負?…………一体何の勝負なんでしょうね桐谷?」
「さあ?俺にはさっぱり………」
「桐谷、テメェ………!!」
「レイ?」
「せ、星………」
「レイ、何おっぱいが大きい子に鼻の下を伸ばしてるんですか?」
「いいえ、そんな事決して!!」
「おっぱい………やっぱり男の人って怖い………」
「大丈夫だよディード………多分」
「多分なの……何を?」
そんな会話をする2人に星の威圧感もどんどん強くなっていく。
「大丈夫っスよ、2人は興味があっても絶対に手なんか出さないっスから。もし手を出してたら仲良く天国に行くことになるっスからね」
そんな混乱気味のディードに声を掛けたのはウェンディ。
ウェンディの言葉にまさかと小さく笑うオットーとディード。
しかし俺はその先に起こるであろう恐怖でその場で固まっていたのだが………
さて、ウェンディの後ろには優理と手を繋いでいるクアットロとディエチに俺を睨んで見てるライと夜美、何かあるかもとワクワクしているセイン、今にも桐谷に襲いかかりそうなフェリアとノーヴェ。
そして………
「キャロ、あの2人?」
「うんそうだよセッテ」
セッテ………?
そんなキャロの声が聞こえたのでそっちを見てみると、俺より少し年下位のピンクのロングヘアーの女の子がいた。
(これでナンバーズ全員稼働か………)
愛しい3人に睨まれながら現実逃避するようにそんなことを考えていた。
すると、セッテはキャロと一緒に俺の方に向かって歩いてきた。
「えっと、俺は有栖零治だ、よろしくな」
「キャロから聞いているので知ってます。私はナンバー7セッテです。実は零治さんにお願いがあります」
「お願い?」
「私に剣を教えてください!!」
「いやぁ、本当はトーレに教育係をさせたかったんだけど、トーレは最近殆ど出ていってるからね」
夕食時、セッテの突拍子の無い発言についてスカさんに話を聞いてみたのだが、その当人はそれほど気にしてない様子である。
「?トーレさんは何してるんです?」
「ランスター家に居候状態だよ。それと共に訓練校で魔法以外の戦闘を特別講師として教えてるみたいだよ」
もはや結ばれるのは近い未来にしか感じない。
ってか訓練校で特別講師ってそれって大丈夫なのか?
「心配そうだが、彼女ももう大人だし、自分の事は自分で決めるだろう。………まあ寂しい気はするけどね」
「完全に親父の感想だなスカさん」
「もし結婚と言う話になったら『力づくで奪うが良い!!』とか言えば良いのかな?」
「ドクター、完全に負けます………」
確かにウーノさんの言葉通り、勝てないだろうな………
ティーダさん、先輩同様の実力があるだろうし。
「まああの飲んだくれを嫁にもらうなんて変わり者ってだけは確かね」
「それにクアットロは酔ったトーレ姉によく絡まれてたからね」
「本当よ!!私はおもちゃかっての!!」
何て愚痴りながら飲み物を一気に飲み干すクアットロ。
「でもトーレ姉みたいに私達も好きな人と一緒に住むようになるのかな………?」
そんなディエチの言葉でそれぞれ喋っていたみんなが一斉に黙った。
「そうだね、娘達みんなそれぞれ旅立つだろうね。それが出会いでもあり、別れでもある。私は娘達を造り、大事な娘と思うようになってから覚悟はしてたさ。もしトーレ以外にもそういう相手が居たら言ってくれ」
「でもドクター………」
「ウーノ、君もだ。いつまでも私の相手をする必要は無いよ」
「………何ですかそれ、私は邪魔ですか?」
「いや、そうじゃないよ。私は一番ウーノに迷惑をかけていたし、その分幸せに………」
「ちょっと待てスカさん、それは………」
「もういいです!!!」
バン!!と大きく机を叩き、席を立つウーノさん。
「ドクターには私の気持ち何て一生分からないんです!!!」
「ウーノ!!」
ウーノさんはそのまま出ていってしまった。
「ど、どうしたんだウーノ?」
「ドクター、追ってください。あれは流石にウーノ姉様が可哀想です」
「チンク………だが私はウーノの為を思って………」
「何を言ってるんですのドクター?それが本心って訳では無いでしょう?」
「私達も2人のお互いの気持ちは分かってます、素直になってください」
「クアットロ、ディエチ………」
「ドクター、ウーノ姉を悲しませないで」
「そう、私達もそう思ってるしな」
「それじゃあレイ兄二号っスよ」
「セイン、ノーヴェ、ウェンディ………分かった!!」
そう言ったスカさんは覚悟を決めた顔で席を立ち、ウーノさんを追いかけていった。
………ってかウェンディそれはどういう意味だ?
「完全に蚊帳の外だな………」
「仕方がないだろう、スカさん家の事情だ。………まあオットー達にはまだイマイチピンと来ないかもしれないけどな」
「………何となく分かる。始めからドクターはお父さん、ウーノ姉様はお母さんって感じがした」
「そうですね。私もそう感じてました」
「私もです、師匠!」
「セッテ、俺は別に師匠じゃ無いからな」
「もう教えられる気満々だな」
笑いながら話しかける夜美。
「いや、教えられるほど強くないからな俺」
「レイ、教えているときこそ見えてくるものがあるんだよ」
「ライが珍しく説得力のあること言った!?」
「………それどういう意味優理!?」
「日頃の行いから見ればなぁ………」
「アギトまで!?」
「ライお姉ちゃん、高校生らしいです」
「キャロにその気は無いのでしょうけど、キャロが姉みたいな発言ですね」
「えっ星お姉ちゃん?ち、違いますよライお姉ちゃん!!」
「もういいもん………心も体も成長して大人の女性になってやる………」
「「体は駄目だ(です)!!」」
そう言って星と夜美はとても真剣な顔でライに迫ったため、ライは頷くことしかできなかった。
「全く………」
その後、2人が帰ってくるまでいつも通りの楽しい夕食を過ごした。
「す、すまなかったね、こっちの話は済んだよ………」
「………」
モゴモゴと恥ずかしそうに喋るスカさんは初めてであり、誰もが不気味に思えた。
強いて言うなら引きこもりのオタクみたいな………
ただ、ウーノさんが嬉しそうな顔でスカさんを見ているのを見てうまく言ったのは分かる。
「レイ兄。明日は赤飯っスね!!」
「そうだな。明日は餅つきからやるか」
とりあえず今日はスカさんの家に泊まることに決定した瞬間だった………
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