八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十九話 学校までの道その六
「メロンの系列はね」
「そうなのね」
「だから今度頼んでみるよ、小野さんに」
僕はこうも答えた。
「メロンもね」
「デザートになの」
「頼んでみるよ」
「いいわね、メロンね」
「美沙さんも好きだしね」
「大好きよ」
好きどころかというのだ。
「お願いするわね」
「僕に?」
「小野さんにもよ」
デザートを出してくれるその人にもというのだ。
「そうするわ」
「そうなんだね」
「ええ、夏は西瓜もいいけれど」
「美沙さんはやっぱりメロンだね」
「北海道の夏はそれだったのよ」
「毎日?」
「いや、毎日じゃなかったわ」
流石にそれはなかったというのだ。
「安いメロンもあって買えない訳じゃなかったけれど」
「それでもだよね」
「毎日メロンは普通は飽きるわ」
だからだというのだ。
「それはなかったわ」
「他にも色々食べてたよね」
「それはね、やっぱりね」
「アイスとかも」
「北海道の乳牛のミルクを使ったね」
「やっぱりそこでも北海道なんだね」
「道民はそうしたところに五月蝿いのよ」
地元で作ったものにというのだ。
「とにかくね」
「だからなんだ」
「そう、そこは外せないの」
「そういえば」
美沙さんのその言葉を聞いてだ、僕はあることを思いだした。それで美沙さんに対して尋ねた。ここで目の前に学園の正門が見えて来た。
「北海道はジンギスカン焼き有名だよね」
「羊の」
「うん、あれもやっぱり」
「あっ、あれは違うわ」
「違うって?」
「北海道は実は羊はあまりいないのよ」
美沙さんは僕にこの真実を話してくれた。
「牛や馬はいてもね」
「あれっ、じゃああの羊は」
「ニュージーランド産よ」
「っていうとジョーンさんの」
「そう、ジョーンの国の羊なのよ」
北海道名物ジンギスカン焼きの羊はというのだ。
「札幌のビール工場でもあるけれどね」
「あそこ食べ放題飲み放題だね」
「あそこの羊もなのよ」
「ニュージーランドの羊だったんだ」
「北海道のじゃないのよ」
「そうだったんだ」
「羊はそうなの」
美沙さんはこのことについては少しふてくされた感じになって僕に話してくれた。どうも北海道産でないことがプライドに触れるらしい。
「あれはね」
「そうだったんだ」
「そうなのよ」
「それは知らなかったな、僕も」
「そうでしょ、けれど実は違うのよ」
「牛やメロンや海産物とは違って」
「羊は違うの」
やっぱりだ、美沙さんは少しむくれていた。
ページ上へ戻る