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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十九話 学校までの道その五

「話をしていて涎が出そうになったよ」
「そこまで羨ましいのね」
「メロン好きだからね」
「そんなに好きなのね」
「あまりにも好きでね」
 ここで僕は子供の頃を思い出して苦笑いになって言った。
「尊師って言われたこともあるよ」
「あの宗教の」
「あの人メロン好きで有名じゃない」
「大好物だったそうね」
「あとあの北の将軍様」
「人造人間みたいな顔した?」
「いや、あの人の前の人だよ」
 二代目の人だ、太っていて眼鏡をかけてパーマのだ。
「あの人がメロン好きだったらしいんだ」
「そうだったの」
「それで将軍様って呼ばれたこともあったよ」
「どっちもあまりいい仇名じゃないわね」
「言われて凄く嫌だったよ」
 メロンが好きなだけでこう言われたのだ、本当に嫌だった。
「幾ら何でもって思ったよ」
「そんな仇名私でも嫌よ」
「そうだよね、だから僕もね」
「怒った?その仇名に」
「だから言うなって言ったよ」
 そうした仇名を付けた友人達にだ。
「あんな髭も髪型もしないし悪いこともしないってね」
「どっちも物凄く悪い人だからね」
「僕あんなことしないから」
 尊師みたいなことも将軍様みたいなこともだ。
「確かにメロンは好きだけれどね」
「メロンが好きでもね」
「あんなことしないから」
 絶対にとだ、僕は言い切った。
「本当にね」
「普通の人はしないわよね」
「間違ってもね」
 それこそだ、僕にしても。
「だから怒ってね、言ったんだ」
「喧嘩になったの?」
「殴り合いにはならなかったよ」
 幸いにだ、あの時のことを思い出しながら美沙さんに話した。
「もう少しでだったけれど」
「それは何よりね」
「うん、けれどその頃からメロンは好きで」
「今もなのね」
「大好きだよ」
 僕はまた答えた。
「西瓜も好きだけれど」
「西瓜よりもなの」
「やっぱりメロンだね」
「そういえばメロンがデザートに出た時凄く嬉しそうね」 
 八条荘の食事でだ、デザートに果物はよく出て来る。
「オレンジとか林檎も好きだけれど」
「一番好きなのはっていったら」
「メロンなのね」
「何ていってもね」
「じゃあメロンのアイスは」
「そっちも好きだよ」 
 僕はまた答えた。
「あとメロンジュースもメロンパンもね」
「どっちもなの」
「そうなんだ、ただね」
「ただ?」
「メロンパンはね」
 僕はメロンパンも実際に好きだけれどだ、それでもと答えた。
「牛乳が一緒じゃないとね」
「ああ、あのパンはね」
「ちょっと食べられないんだ」
「そうしたパンだからね、あのパン」
「けれど好きだよ」
 メロンパンもだ。 
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