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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十九話 学校までの道その七

「残念だけれどね」
「成程ね」
「あとね」 
 ここでまた言った美沙さんだった。
「ホッケもね」
「ホッケは北海道産だよね」
「けれどフライにして食べたりもするのよ」
「焼く以外に」
「そう、その食べ方もあるのよ」
「そうだったんだ」
「それがまた美味しいのよ」
 ホッケのフライがというのだ。
「絶品よ」
「それは僕も食べてないよ」
「今度北海道に行ったら食べてみたらいいわ」
「それじゃあね」
「確か義和のお父さん食道楽でもあるわよね」
「うん、そうなんだ」
 女の人にお酒にだ、そちらも大好きな親父だ。だから今はイタリアでイタリア料理に舌鼓を打っているらしい。
「それも相当なね」
「それじゃあ知ってるかも知れないわ」
「ホッケのフライのことも」
「北海道名産のね」
「まあ親父ならね」
 言われてみればだ、あの親父なら。
「日本全国回ってるし」
「北海道もよね」
「うん、何度も行ってるからね」
 その行った回数は僕よりもずっと多い。
「そうした食べ方も知ってるだろうね」
「私は義和のお父さんに会ったことないけれどね」
「あまり会わなくていいよ」
 今度は僕が少し憮然となって美沙さんに答えた。
「あの親父にはね」
「女好きだから?」
「しかもお酒大好きで凄くだらしない人だから」
「義和いつもそう言うわね」
「だって事実だから」
 本当にそうした親父だからだ。
「本当にね」
「それでなのね」
「誰にも勧めないよ、会うのは」
「私にも」
「特に女の子には昔から勧めていないよ」
 理由は明白だ、親父がとんでもない女好きだからだ。
「女子高生も大好きだっていうし」
「じゃあ義和の同級生の娘もこれまで」
「いや、言われてみれば」
 僕は美沙さんに言われて気付いた、あの親父は。
 僕のクラスメイトや同級生、知り合いの人には一切手を出していない。ホステスの人をとっかえひっかえはしょっちゅうだったけれど。
「そういうのはなかったよ」
「あら、そうなの」
「うん、あんなに女好きなのに」
 それでもだ、思い出してみれば。
「そうしたことはないよ」
「そうなのね」
「そう考えると」
 このことからもだった。
「無茶苦茶な様で線は引いてるんだよね」
「やったらいけないことはわかってる人なのね」
「うん、浮気者でもね」
 だからお袋にも逃げられたけれどだ。
「それでもね」
「しっかりしてるところはしっかりとしてて」
「そうしたこともしていないよ」
「そうした人なのね」
「あと本当に暴力は嫌いだね」
 このことに一番五月蝿い、親父は。 
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