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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十六話 勝利祈願その十二

「そうだよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「特に気にしなくてこうして聞いて」
「勉強すればいいよ」
「僕別にね、シスターになるつもりはね」
 そうした考えはというのだ、ニキータさんは自分で神主さんに話した。
「ないけれど」
「それでもだね」
「神様は信じてるよ」
 つまり信仰はあるというのだ。
「キリスト教の教えって大切だよ」
「そうだね、それがあるからね」
「人としてやっていけるから」
「人として」
「うん、神様を信じない人って僕はね」
 ニキータさんは神主にこうした考えを話した。
「何か怖いんだ」
「無神論の人はだね」
「畏れるもの、敬うものがないってことだよね」
「そうした考えも出来るね」
「そうした人ってね」
「何をするかわからない」
「自分が一番偉いとか思ったら」
 神様ではなく自分をというのだ。
「もうそれだけで怖いよ」
「成程ね」
「だから僕は他の宗教を信じている人は平気でもね」
「神様も仏様も信じない人はなんだね」
「駄目なんだ」
「そうした考えもあるんだね」
 僕はニキータさんのそうした言葉を聞いて思った。
「成程ね」
「はい、わたくしもですわ」
「円香さんも?」
「そうした神仏を全て否定する人は」
「抵抗があるんだ」
「はい、どうしても」
 円香さんにしてもというのだ。
「わたくしは神社の娘なので」
「だからなんだね」
「どうしてもですわ」
「成程ね」
「では」
「うん、それじゃあね」
「あの、すいません」
 円香さんから神主さんにお話した。
「もうそろそろ」
「時間だね」
「はい、部活の時間なので」
「そうだね、ではね」
「これでお暇させてもらいます」
 こう神主さんに礼儀正しく述べた。
「それでは」
「うん、またね」
「何かあればお邪魔して宜しいでしょうか」
「何時でもいいよ」
 神主さんは温和な笑みで円香さんに答えた。
「来てくれてね」
「わかりました、それでは」
「ではまた」
 僕も神主さんに別れの挨拶をした、畏まった姿勢で。
「お邪魔させて頂きます」
「それではね」
「神主さん、またね」
 ニキータさんは僕達より砕けた態度だった。この辺りはニキータさんの飾らず人懐っこい人柄故だろうか。
「お話しようね」
「うん、またね」
 神主さんもそのニキータさんに笑って応える。
「来てくれたらいいよ、ただね」
「ただ?」
「うちの娘には注意してね」
「娘さん何かあるの?」
「いや、飲んで女の子に絡むからね」
 だからだというのだ。
「セクハラが好きだから」
「セクハラに注意しろっていうのね」
「あとお酒にもね」
 そちらにもというのだ。
「うちの娘に会ったらね」
「娘さんそんなに凄いの」
「飲むんだよ、もう浴びる位にね」
「そうなんだ」
「全く、飲んで女の子と遊んで」
 神主さんはご自身の娘さんには困ったお顔だった。
「男なら大変だったよ」
「そうだね、そうした人だったら」
「どうしたものやら」
 神主さんは娘さんにはそうした顔を見せていた、僕達はその神主さんと別れてそれぞれの部活に出てだった。爽やかに汗をかいた。


第四十六話   完


                          2015・6・3 
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