八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十六話 勝利祈願その九
「キジムナーも他の妖怪もね」
「そうなのね」
「夜の学校の敷地内に馬が走るって話もあって」
「馬?農業科とか大学の農学部にいるよね」
「そうした普通の馬じゃなくて」
その夜に学園の敷地内を走る馬はどういった馬なのかとだ、僕はニキータさんに対してこのことも話した。
「首のない馬なんだ」
「妖怪ね」
「そこに一つ目の顔中髭だらけの妖怪が乗ってるんだ」
「そんな妖怪もいるのね」
「この学園にはね」
「夜行さんといいまして」
円香さんがニキータさんにその妖怪の名前を話した。
「本来は九州の方にいる妖怪ですが」
「ここにも出るの」
「どういった経緯かわからないですが住んでいます」
「その首のないお馬さんと一緒に」
「そうなのです」
「そんな妖怪もいるのね、この学校」
ニキータさんは円香さんに興味深そうに顔を向けつつ応えた。
「面白いね」
「面白いですか」
「僕そういう話好きなんだ」
明るい調子での返事だった。
「ブラジルにいる時からね」
「そうなのですか」
「そうなの」
その通りという返事だった。
「夢があるじゃない、魔女とかね」
「魔女はお好きですか」
「大好きよ、楽しいでしょ」
「そう言って頂けるなら何よりです」
円香さんはニキータさんの返事にほっとした感じになって返した。
「よく魔女狩りがまだ残っていると聞きますので」
「ああ、中南米でもね」
「欧州でもそうですが」
「そうしたことを信じてる人って確かにいるよ」
「まだ、ですね」
「うん、けれどね」
「もう少数ですね」
円香さんはニキータさんにこのことを確認する様に尋ねた、そのニキータさんの方を見てそのうえでのことだった。
「幾ら何でも」
「そうだよ、本当にごく僅かのね」
「おかしな人達だけがですね」
「魔女は悪いって言ってるよ」
「ですがニキータさんは、ですね」
「楽しいじゃない、箒に乗ってお空飛んで」
それにとだ、ニキータさんは言葉を続けた。
「不思議なお薬調合したりね」
「魔法の、ですね」
「それの何処が悪いのか」
「確かに魔術は悪用出来ますが」
「そんなのどれでもじゃない、サッカーだってね」
ニキータさんが大好きで実際にしているそれもだった。
「スパイクで人を蹴ったら大変だよ」
「大怪我をしますね」
「そう、だからね」
「魔女もですか」
「悪いことをする魔女は悪い魔女で」
「いいことをする魔女はですね」
「いい魔女よ」
そうなるというのだ。
「僕はそう思ってるけれどね」
「はい、確かに」
「そうだよね」
「わたくしもそう思いますわ」
円香さんも微笑んでこうニキータさんに返した。
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