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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十六話 勝利祈願その五

「全てが近いのです」
「そういえばどの国の大抵」
「スペイン人が入植しまして」
「現地の人や黒人と混血したよね」
「そして現地の人と黒人も」
「どの国もそうだから」
「人種的にも近いです」
 スペイン系の人とインディオの人、それにアフリカ系の人が混ざり合って中南米の人になったのだ。アルゼンチンは白人の人が多いらしいけれど。
「中南米全体で」
「だからニキータさんも」
「僕?この通りだよ」
 その黒い肌と髪、目のラテン系の顔を指し示しての言葉だ。
「混血してるよ」
「そうだよね」
「ブラジルこうした人多いから」
「というかかなりの人が」
「そうだよ、混血してるから」
 だからだというのだ。
「ブラジルも他の中南米の国もね」
「そうだよね、そういえば」
 ここで僕は不意にこの人を思い出して言った。
「ペタジーニなんて」
「ヤクルトで活躍した」
「うん、あの人はベネズエラ出身だったね」
「いい選手でしたね、チャンスに強くて」
 長打だけじゃなくてだ、しかもファーストの守備もよかった。
「あの人もスペイン語で」
「他のラテン系の人ともお話していたね」
「はい、そうでした」
「あと昔西武にいた」
 僕はこの人がいた時はまだ産まれていなかったけれど名前と活躍走っている。
「デストラーデも」
「あの人はキューバ系アメリカ人でしたね」
「うん、そうだったね」
「勿論あの人もスペイン語を喋れますから」
「そうだね、スペイン語って凄いね」
「喋る人はかなり多い言語の一つです」
「本当にそうだね」
 こうした話をしながらだった、僕達は戦勝祈願の場所まで行ってだった。
 矢やお守りも買って絵馬もかけてだった、それから。
 鈴を鳴らして三人で手を合わせた、勿論お賽銭も忘れなかった。そうしたことを全てしてだった。僕はニキータさんに言った。
「これでね」
「お願いは終わりね」
「後は神様次第だよ」
「甲子園のことは」
「高校野球のことも阪神のこともね」
「問題は阪神ですわ」
 円香さんはこちらの方を問題視していた。
「あのチームに絶対はありませんわよ」
「優勝しそうでもね」
「しないチームですわ」
「最終戦で負けたりね」
「それが普通のチームですわ」
 だからだというのだ。
「思えば昭和四十八年も」
「あの時は有名だね」
「最後の試合で甲子園で巨人に負けましたわ」
「巨人の九連覇だったね」
「それでファンが暴れましたわ」
 それこそ怒り狂ってグラウンドに雪崩れ込んだ、それで巨人は川上監督の胴上げも出来ないで球場を去るしかなかった。
「それも非常に」
「そうだったよね」
「ヤクルトと争った時も」
「その時も最後でね」
「負けましたわ」
 八木さんのホームランが二塁打になった試合だ。 
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