八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十六話 勝利祈願その四
「あくまで内緒でね」
「そうですね、本来カトリックの聖職者は妻帯を禁じられています」
「けれどなんだよね」
「そうした方もおられますね」
「中には子供いた教皇様もおられるし」
「アレクサンドル六世ですね」
円香さんはすぐにこの人の名前を出した、僕も知っている名前だった。
「ボルジア家の」
「凄く悪い人だったんだよね、けれどね」
「はい、ブラジルをポルトガル領土にした人ですわね」
「うん、あの人が決めたんだ」
「教皇子午線ですわね」
「あれでブラジルはポルトガル語を喋ることになったから」
「中南米の他の地域はスペイン領になりましたわね」
このことは教科書にも出て来る、だから僕も話を聞きながら頷いていた。無言にしても。
「その時に」
「そうなのよ、けれどね」
「けれどといいますと」
「別にいいの、言葉のことは」
「通じるからですわね」
「そうなの、ポルトガル語でもね」
他の中南米の地域と、というのだ。
「スペイン語と変わらないから」
「方言位の違いですわね」
「だから他の娘とも通じるから」
「スペイン語圏の方々とも」
「普通にね、あと僕イタリア語もわかるよ」
「あっ、そういえば」
僕はニキータさんの話を聞いてすぐにはっとして言った。
「母を求めて三千里でもね」
「マルコはイタリア人ですわね」
その僕に円香さんが応えてくれた。
「けれど普通に中南米に行っていますわね」
「それで喋ってるよね」
「スペイン生まれではないですが」
「言葉が近いんだね」
「同じラテン語ですから」
「そうだよね」
「ですからスペイン人はイタリアのオペラ歌手にもなりやすいのでしてよ」
円香さんは僕にこのことも話してくれた。
「クラスメイト、スペインから来た方に教えて頂きました」
「それのこと僕も聞いたよ、実はだよね」
「はい、言葉はでしてよ」
「近いんだよね」
「ブラジルもイタリアも」
スペインとだ。
「だから通じますの」
「だから僕いいの」
ポルトガル語でもというのだ。
「中南米の他の国に行ってもね」
「方言位の違い?」
「そうよ」
僕の質問にも笑顔で答えてくれた。
「そんな位の違いよ」
「そうなんだ」
「例えばチェ=ゲバラですが」
ここでだ、円香さんもこの人を例えに出してきた。
「あの人はアルゼンチン出身です」
「ああ、生粋のキューバ人じゃなかったんだよね」
僕もこのことは聞いていて知っていた。
「あの人は」
「はい、ですがキューバに行ってもです」
「普通に喋ってたよね」
「言葉に壁はありませんでした」
アルゼンチンとキューバの国の違いはあってもというのだ。
「中南米はスペイン語で通じます」
「そうなんだね」
「ですからゲバラもです」
「キューバで普通にやっていけたんだ」
「そうです、そしてブラジルもです」
「ブラジルの人が他の中南米の国に行っても」
ポルトガル語しか喋ることが出来なくてもだ、それこそ。
「苦労しないんだね、言葉では」
「そうです」
「中南米って一国一国が近いんだね」
「宗教も文化も人種もです」
そうしたものもというのだ。
ページ上へ戻る