八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十六話 勝利祈願その二
「日本の神様はそれぞれ違うのね」
「そうなんだよ、本当にね」
「そこはキリスト教の聖人みたいね」
「そうだね、天使とかね」
「そう、天使も司るものが違うのよ」
それぞれの天使でだ、ニキータさんは僕のその指摘に笑顔で応えた。
「実はね」
「そうだよね」
「それで日本の神様も司るものが違うのね」
「私の実家は安産なのです」
その祈願だというのだ。
「他にも神様はおられまが学問や商売なので」
「じゃあ戦いのことはなのね」
「違いますわ」
つまり家に祭っている神様が司ってはいないというのだ。
「そうですわ。けれどこの八条神社は違いまして」
「祭っている神様が多くて」
「戦勝の神様も祭られていますので」
「それで高校野球と阪神のことで」
「参りました」
微笑んでだ、円香さんはニキータさんに答えた。
「そうですの」
「成程ね、じゃあ私達もね」
「うん、参拝をしたらね」
それからとだ、僕はニキータさんに応えて話した。これからのことを。
「それからね」
「学校の神社にも行って」
「お話を聞こうね」
「どうしてお坊さんが神様になれるのか」
「そのことですか」
僕達の話を聞いてだ、円香さんが言って来た。
「神道と仏教の関係ですね」
「あっ、円香も知ってるの」
「はい、私の実家にはありませんけれど」
それでもとだ、円香さんはニキータさんのその質問に答えた。
「神社の中にお寺があったりしますの、日本では」
「そうなのね」
「これを神宮寺といいまして。逆の場合もありますの」
「お寺の中に神社があったりとか」
「ありますの」
「それ面白いね」
ニキータさんは円香さんの話に目をきらきらとさせていた。
「神社の中にお寺とかね」
「はい、日本独自です」
「二つの宗教が一緒にいるのね」
「そうですね、八条学園でも」
「キリスト教の教会もあるしね」
「日本では様々な宗教が併存しています」
「そういうのないよ、ブラジルだと」
ニキータさんはしみじみとして述べた。
「あるにはあっても」
「殆どがカトリックですね」
「そうなんだ」
「カトリックは中南米にも大きな勢力を持っています」
円香さんもこのことはよく知っているという口調だった。
「いえ、むしろ」
「殆ど皆カトリックよ」
「そうですね」
「プロテスタントの人少ないのよ」
「それもかなりですね」
「他の宗教の人もね」
「カトリックは今も大きな勢力を持っています」
かつての中世の頃と同じく、というのだ。
「柔軟ですし」
「今は、だよね」
「はい、柔軟で寛容な宗教になっています」
「他の宗教とも友好関係を深めているしね」
「私もよく教会に行きますわ」
そのカトリックの教会にというのだ。
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